モンスター列伝★4・A1900


【1.1900の位置付け・役割】

遊戯王には初期の頃から続く暗黙の了解=決め事が存在します。中でも「★4の上限は1900、超える場合はコスト付き」は代表格だと思います。これが崩れた瞬間に、主力である1900は輝きを失い、一気に攻撃力のインフレ時代に陥ることは明白です。ですから、今後も★4の上限は1900であり続けることは間違いないでしょう!

★4・1900はサッカーではFW的存在。バレーボールではアタッカーです。もちろん、上級モンスターの方が一般的に攻撃力が高いのですが、現在のエキスパート・ルールに於いて、生贄1体または同等のコンボはコストが高くて割に合わない感じ...コストなしで場に出せて、素早い攻撃が可能な1900こそ主力中の主力と呼べるでしょう!1900を生贄にして上級を出す代わりに1900をもう1枚出せれば、合計3800!★6以下トップクラスで2500程度ですから、1300もお得ですね。

一部のコントロール型、1キルなどの例外を除き、ほとんどのデッキで、1900は活躍の場が用意されています。1年以上前までは、1900の定番と言えば「ブラッド・ヴォルス」「ヂェミナイエルフ」の2枚!遊戯王歴が長い方には憧れた想い出があると思います。1900を持っていることがベテランのステータスだった時期もあるのです。2002年アジア・チャンプがお気に入りのヴォルス3枚投入していたのも印象的でしたね。

ところが、昨年の後半に衝撃的な「ニュート」と「スピア・ドラゴン」の登場で一気に活気付き、続けて「雷電娘々」「Tヂェミナイ・エルフ」そして今回「熟練の黒魔術師」「サファイア・ドラゴン」の登場によりバラエティーに富んだ陣容になって来ました。海馬ストラクチャーでノーマル版ヴォルスが入っていたことで、経験の浅い方も1900を入手しやすくなったのは大歓迎です!

高値(嶺)の花だったのは過去の話、良い時代になったものだ!(違


【2.モンスター考察】

『ブラッド・ヴォルス(ヴォルス)』 ★4・1900の代表格!  
闇・獣戦士 ★4 1900/1200 (DM4、海馬S)

遊戯王を代表する★4・1900モンスターの定番です。ニュート以降、続々と強力1900が登場していますが、ヴォルスの魅力は健在。2002年アジア・チャンプが3枚使って、見事優勝!その実力を全決闘者に示しました。

最大の魅力は安心感が漂う、絶妙なバランス感覚の一言に尽きます。言うまでもなく、攻撃力1900は★4最強クラス、守備力1200は守備状態でも、ウィッチ、クリッタークラスの攻撃に耐えることが出来ます。

実戦ではほとんどウィッチ・サーチすることのない1900でも、万一の時、ウィッチから引いて来れるのは頼もしいです。更に、今後強くなりそうな『停戦協定』を発動された時に、LP500分軽減出来ることも、安心感を感じさせる要因だと思います。つまり、地味ですが計算出来るカード!所詮攻1900メインとして割り切って使うからには、このカードで充分過ぎると言うのが結論です。


『ヂェミナイ・エルフ(ヂェミ)』 華麗なる魔女姉妹! 
地・魔法使い ★4 1900/900 (BC)

ヴォルスの陰に隠れた存在でしたが、昔から人気が高いカードでした。オールド・ファンの方は、今は亡きブースターで、ヂェミナイを引くまで買い続けた経験ありませんか?実は...私もそうでした。入手出来た喜びを最も感じさせてくれた想い出のカードです!

もちろん、地属性デッキに於いては、まだまだ現役クラスです!ヴォルスとの違いは明確!長所:墓地に行ってからタイタンの生贄になる。地属性、魔法使いに対する強化カードの恩恵を受ける。例:ガイアパワー、連合軍 短所:守備力900は守備表示にされた時に不安。メジャーな魔法使い族は、同族のターゲットにされやすい。これ意外と重要な要素ですよ!

同族感染ウィルスという恐ろしい除去カードの登場により、特性種族で固めたデッキは危険と隣合わせになってしまいました。ブレイカー、ウィッチなどと並べると怖いので、デッキに入ることが少ない獣戦士(ヴォルス)の方が安心かもしれませんね。上で説明した長所はそれ程、使われないような気がするので...


『サファイア・ドラゴン(サファイア)』 宝石三兄弟の末弟!

風・ドラゴン ★4 1900/1600 (黒魔導)

強力モンスターを輩出した黒魔導の覇者に於いて、1900でありながらイマイチ地味な存在となっています。やはり、通常モンスターにとって不遇の時代に入ったのですね...ニュート、スピア以前に出ていたらかなりの反響を呼んでいたはず。それだけの能力はあると思います。

ヴォルスとの最大の違いはウィッチによるサーチが出来ないことです。しかし、良く考えるとデッキに1枚しか入らない貴重なウィッチで1900を引いて来ますか?答えはNo.です。サイコ、ヴァロン、レッサー、パーシ等の上級、またはその時点でコンボを組める効果モンスターで80%以上を占めるはずです。

逆に守備力1600は、効果モンスターのボリューム・ゾーンである1400だけでなく、新興勢力(別のシリーズで解説予定)の1500、1600まで防ぎます。ブレイカー、同族対策としても優秀で、裏守備で使う機会もあるかもしれません!少なくとも風属性デッキ、ドラゴン・デッキを強化出来る優秀カードと評価しています。


『ニュート』 精神波動攻撃の要!
風属性・悪魔族 ★4 1900/400 (真DMU)
「リバ−ス:このカ−ドの攻撃力・守備力がそれぞれ500ポイントアップする。このカ−ドを戦闘で破壊したモンスタ−は、攻撃力・守備力がそれぞれ500ポイントダウンする。」

発売前から期待を一身に背負い、絶賛と恐怖を持って迎えられました。3枚目の1900にして、初の効果モンスター。しかも、当時としては珍しいダブル効果にも注目が集まりました。シングルカードとして1枚・5000円で販売され、3枚持っている決闘者は、羨望の眼差しで見られたものです。

月日の流れと共にいつしか熱も冷め、高額レートだけが一人歩きする存在に...もちろん1900が弱いはずありませんが、期待が大き過ぎて失望感が上回ったのでしょうか?そう!凶悪に見える効果は実戦ではほとんど発動出来なかったのです!

そして、再び注目を浴びたのが2002年5月の制限改定でした。「何故、制限なの?信じられない!」随分失礼な言い方だと思います。愛用者として言わせて貰うと「ハッキリ言って強いです!」凶悪な悪魔族が増えた現在、3枚投入されたらバランスが崩れる程だと思います。

このカードの特長は、その独特のオーラにあります。謎めいたデザイン。レア度の高さに比例した価値感。秘めた能力の高さは対戦相手にとって脅威。思わず攻撃をためらわせるだけの「何か」があると思います。80%以上は単なる1900として使いますが、場にある時の存在感は抜群です。私は精神波動攻撃の要と呼んでいます。墓穴、サイポなどでさり気なく裏守備にしたりすればかなりのプレッシャーです!スロー展開に持ち込むデッキとの相性が良さげ♪運良く入手出来たら、やはり使ってみたいですね。


『スピア・ドラゴン(スピア)』 奇襲攻撃の要!
風属性・ドラゴン族 ★4 1900/0 (闇を制する者)
「守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力よりこのカードの攻撃力が上回っていれば、その数値だけ相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える。このカードは攻撃した場合、ダメージステップ終了時に守備表示になる。」

その奇襲性により、ニュートの存在感を一気に薄くした存在でした。強力モンスター揃いの「闇を制する者」シリーズにあっても、存在感は抜群!某HPで私が実施した、使えるモンスター・アンケートでも1位でした。その後、パーシアス、イグザリオン、長槍兵などの貫通系が相次いで登場したため、若干価値が下がりましたが、まだまだ現役だと思います!

貫通能力も1900あれば威力充分!それまで、大流行していたスケープ・ゴートは一時的に壊滅状態まで追い込まれたほどです。攻撃後のゴブリン突撃部隊も格好の的になります。死霊やキラスネもスピアの前では壁モンとしての機能を果たせなくなります。怖いですよぉ!

常に攻撃表示で使えば守備力は関係ないはずですが、貫通系デッキは、貫通効果を活かすために、アクエリア、月の書などの強制守備カードと組み合わせて使うため、逃れられません。それまでのデュエルでは意識の薄かった守備力の大切さを再認識させてくれた問題提起型カードと言えるでしょう!w

攻撃後の無防備さが唯一絶対の弱点。護封剣、湿地帯、和睦などを投入して手厚く守る必要があります。正直、単体ではやや安定感に欠けます。ですから、どちらかと言うとコントロール・デッキ向けで「奇襲の専門家」が真の姿だと思います。墓地に置いておけば、終盤にキラスネ、死霊の壁を貫通させて勝利に導くことも可能です!今でも、1枚はデッキに入れて損のない、実戦的なカードだと思います。


『熟練の黒魔術師(黒魔)』 新時代・主力1900の旗手!
闇・魔法使い ★4 1900/1700 (黒魔導の覇者)
「自分または相手が魔法を発動する度に、このカードに魔力カウンター1個乗せる(最大3個まで)。魔力カウンターが3個乗っている状態でこのカードを生け贄に捧げる事で、自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」を1体特殊召喚する。」

黒魔導の覇者で登場した強力1900。例によってヴォルスと比較すると、デメリットはウィッチでサーチ出来ないこと、相手停戦のダメージ源となること。メリットは守備力の高さと、その特殊効果!思わず、飾りだったブラックマジシャンをカード・ケースから取りだしてデッキに入れたくなった方は居ませんか?

しかも、白魔導からバスター・ブレイダーへの特殊召喚、融合させてブラックパラディンへの進化と大変面白く練られたコンセプト。白魔導の攻守が逆になっているのもおしゃれ〜♪今回シリーズの目玉だけにコナミの意欲を感じます。現実はパラディンの従者?(ブレイカー)と対策カード?(同族感染)の方が流行っているのが面白いですね!コナミは意図していなかったかも?

と言う訳で強力な能力に較べて、イマイチ普及していないと思える黒魔術師ですが、ウィッチのサーチを除けば充分主力として使えますし、守備1700を活かして2枚投入も考えられます。「えっ?まさかデッキにBMっを入れているの?」と相手にプレッシャーを与える目的として使ってみるのも面白いですね〜実はかなり強いと思います。


『雷電娘々(雷娘。)』 純光デッキご用達カード!
光・雷 ★4 1900/800 (蘇りし魂)
「自分フィ−ルド上に光属性以外のモンスタ−が存在する場合、このカ−ドはフィ−ルド上に出すことはできない。また、光属性以外のモンスタ−が自分フィ−ルド上に出された場合、フィ−ルド上のこのカ−ドを破壊する。」

テキストに書いてあるのは、効果と言うよりコストです。攻2000以上★4には必ずコスト(=不利になる行動)が付いているのですが、それらを上回るコストかもしれません。ウィッチ、クリッター、キャノンと並べて使えないのは流石に痛いです。さて、ここで問題です。「キャノンで飛ばすことの出来ないカードは何でしょうか?」クイズみたいですねw

雷娘。を活かすのは純光属性デッキしかなさそうです!こうなったら1900を最大限活かすためにシャイン・スパークを2枚投入!雷族を活かして魔霧雨を使ってみてはいかがでしょうか?何気に1600の同族対策になっているような感じが良さげです〜


『トゥーン・ヂェミナイエルフ(Tヂェミ)』 埋もれた魅惑の1900!
地・魔法使い ★4 1900/900 (ペガサスS)
「召喚ターンに攻撃不可。「トゥーン・ワールド」が破壊された時このカードも破壊。自分のフィールド上に「トゥーン・ワールド」がありトゥーンをコントロールしていない場合このカードは相手を直接攻撃できる。このカードが相手にダメージを与えた時に、相手はランダムに手札を1枚捨てる。」

ご存知の通り、このカードが含まれるペガサス・ストラクチャーで登場したトゥーン達はトゥーン・ワールドが場になくても登場出来るようになりました。つまり、単純な1900モンスターとしても使えるようになったのです。しかも、ホワイト・シーフの効果も身に付けています!これは意外と使えるのでしょうか?

結論としては、やはり召喚ターンに攻撃出来ないのは重いコストです。使うならコンボカードで補う必要はありそう。例えば、怨霊の湿地帯を使えば条件が同じになりますよね?また国立魔導図書館の登場で脚光を浴びているT目次からは引いてこれるのもイイ!目次を3枚入れれば、最初のターン手札に持ってこれる確率が高いです。先攻1ターン目にで使うなら問題ないからですねw

T目次との速攻コンボ、またはトゥーン・ワールドを入れた専用デッキでは、使い所を間違えなければかなり使えるカードだと思います。埋もれた強力1900に愛の手を!(違


【3.デッキ構築のコツ】

繰り返しになりますが、一部のコントロール系と1キルを除く一般的なデッキでは、1900は主力として活躍が期待出来ます。ヴァロン、レッサー、パーシなどの2000級上級対策にゴブリン突撃部隊、またはゾンパイアをまず1枚入れますよね?残りのスロットに1900を2、3枚投入すれば十分だと思います。

攻撃力1900を中心に使う前提では、これからも安定感のあるヴォルス中心は変わらないはずです。ヴォルス3枚で頂点を極めたアジア・チャンプが証明しました。同じ通常モンスターのヂェミナイとサファイアも若干、不利な点はありますが、ほぼ同様の扱いが出来ると思います。直球のヴォルス(他通常モン)に対して、1900効果モンスターは変化球と考えてみましょう!

黒魔導 =スライダー 現代野球に於ける中心的な変化球。安定感があります。
ニュート =シュート 打者に向かって食い込んでくる、ビビらせるための球種
スピア  =フォーク  奇襲用。決め球としても使える。落ちないと痛打されるw
雷電娘々=ナックル 打ち難いが、コントロールが定まらないで自爆の恐れあり!
Tヂェミ  =チェンジアップ 使うタイミングは難しいが、効果は抜群です!

デッキへの投入は基本的に直球中心ですから、効果モンスターは入れるなら1枚。専用デッキなら魔術師デッキでの黒魔導、光デッキでの雷娘。などは2枚投入もOKです。せっかく、ファンデッキを作るからにはヴォルスは抜いて、コンセプトを尖らせましょう!

私的には通常のデッキにはヴォルス1、ニュート1、スピア1の構成をお薦めします。理由としては1.同族対策として種族は出来るだけバラバラにする。 2.墓地から蘇生させる場合に状況に応じてモンスターを選べる。例:相手の場に羊、キラスネ、死霊があればスピアで刺す!墓穴で持ってくる場合、他にリバース、守2000がなければ迷わずニュート!相手がパワーデッキの時も牽制用として使えます。ブレイカー、同族などの1600勢力が流行っているようですが、これだけの効果を持っていれば、1900の存在は霞んでしまうかもしれませんね。

結論:「5月制限改定の意味」で解説した通り、今後のデュエルに於いて選択の幅を広げることが、多種多様のデッキへの適応力を高める!(そうかぁ?


【4.プレイングのコツ&まとめ】

デッキ構成は序盤に使えるカード群と終盤威力を発揮するカード群に大きく分かれます。例えば1キルは序盤に使えるカードだけで構成されています。この観点から見ると、★4・A1900は序盤から終盤まで安定して使える、信頼できるカードと言えます。サイクロンと並んで将棋の歩的存在です。

序盤に召喚しても、攻1900あればモンスターでは簡単に倒せませんし、終盤に相手の場をキレイにしてから使えば1900は止めを刺すのに充分。最近、相手にマークされる凶悪モンスターが相次いで登場しました。たぶん、相手はサイコヴァロン、レッサー、パーシ、ブレイカー、同族などに神経を尖らせているので、マークが外れた1900がノビノビと活躍出来るかもしれません!

「攻撃こそ最大の防御なり」と言われる通り、1900の最大の魅力は攻撃力にあります。効果はおまけと割り切って、隙あれば効果を発動する。こんなプレイングでこそ、1900を活かせるような気がします。逆に、相手の戦略を読む時には、常に相手手札に1900があり、攻1900として使われることを前提に考えて、それに対抗する戦略を組み立てると良いでしょう!

デッキをサッカーチームに例えると1900のポジションはFWです。上級はFWと言うよりも、その強力な効果を活かした司令塔!FWはFWらしく、隙あればショート!自陣のフォーメーションが崩されたら素早く戻って守備!常に相手MFにプレスを掛け、時には相手のマークを引き付けたり、ポスト・プレーに徹する。

つまり、FWは味方チーム勝利の為にグランドを所狭しと動き回っている裏方的な側面もあるのです!シュートを決める瞬間を除けば意外と地味な役どころ。そんな眼で1900を見てあげると愛しくなりませんか?大切にしてあげましょうね♪ それでは!また〜