『黒魔導の覇者』考察


【はじめに】

「黒魔導の覇者」は久々に力感に溢れる充実した内容ですね〜♪第三期に入って新感覚のコンボカードが増え、確かにデュエルの幅を広げましたが新決闘者、ユニオンはかなりコントロール系に偏っていました。上手に使えば強いですが、初心者には扱い辛いがカードが多かったのも事実です。

今回のシリーズはコンボ性を継続しながら、よりパワーアップした感じ...攻撃力が高く効果も良さげな上級。★4攻1900も一気に2枚増えました!モンスターでは魔導戦士ブレイカーと同族感染ウィルスが激強!マジック・ブロックの効かないモンスター効果による破壊カードの登場で、今後のデュエルのバランスが崩れるかもしれません。特に勅命、魔封じ、ウィジャ、バインド、護封剣を苦にしないブレイカーはコントロールデッキの天敵となるでしょう!例によって玉突き現象で、激流葬、落とし穴、奈落の落とし穴のような召喚させないトラップが、当然のようにデッキに入る時代になるかもしれません。

パワーアップだけではなく、バランス感覚と遊び心も評価できると思います。バランス感覚を示す一例として、戦士、魔法使い、ドラゴンなどの王道種族が良い感じで強化されていることが上げられます。あまり使われなくなっていた、これら種族の強化魔法、罠も復活するかもしれません!遊び心としては目立つのがやはり「あいつ&こいつ」コンビです。壊れ加減がイイ!コナミの企画スタッフが居酒屋で考えたのでは?(次回秘話の舞台決定!w

何となく、遊戯王人気の復活の兆しを感じています。これは「闇を制する者」以来のこと...つまり、ハデス、フリード、隊長、ならずなどの強力王道種族が登場した時の活気をコナミは忘れていなかったということですね。やはり、マリク(墓守)、海馬(ユニオン)よりも遊戯(魔法使い)、城の内(戦士)、孔雀舞(アマゾネス)などの主流が中心の方が面白いと言うことですか?楽しみ満載の黒魔導の覇者!早速、コンセプト毎に特長、限界、相性の良いデッキ、カードなどを語っていきたいと思います。


【新概念・魔法カウンターの魅力に迫る】

今回の目玉は、新概念「魔法カウンター(以降魔石と呼ぶ)」であることは間違いないと思います。従来デュエルでは、LPの削り合いを中心に、カード単位での除去、手札調整が中心でした。今回、第2の攻防単位である魔石の誕生により、デュエルに奥深さを与えた印象があります。この新概念が浸透するかどうかは、今回登場したカード群が試金石となりそうです。これ以上概念が複雑になるのは困りますが、今回程度の負荷なら大歓迎!私も魔石普及を応援したいと思います。明快!連載決定ですか?それとも、まさか「魔石普及協会」設立ですか?w

魔石攻防の実質的中心が魔導戦士ブレイカーであることは、全決闘者の一致するところでしょう!このカードは専用デッキだけでなく、スタン等通常デッキでも使えることが判明!次章で詳しく説明します。もう一方の象徴的存在「ブラック・マジシャン」遊戯王を代表するモンスターながら、能力的に埋没していました。使われることが少なかった不遇の存在が、パラディン、黒魔術師の登場により復権を果たせるのでしょうか?BMは遊戯王人気復活の切り札と言える存在かもしれません。成功を収めれば、今後も既存の特定カード・サポートは流行りそうです。楽しみですね♪

魔石デッキ構築で重要なのは「需要と供給のバランス」と考えています。つまり、供給とは専用モンの召喚成功時の各1個とパワーストーン(力石)の3個。これをタイミング良く消費して、戦況を有利に進めることが最大の目標となります。ブレイカー中心であれば力石は必要なく、見習い魔術師程度の供給力があれば十分だと思いますが、黒魔術師、図書館など大量の石を必要とする場合は力石がないと厳しい気がします。通常デッキに入っている法だけでも、マリオネット、図書館は活躍できますが、トゥーンの目次等のノーコスト・サーチ魔法を積むことで、1キル・速攻系の特殊なデッキで威力を発揮できます。

無制限のマリオネットを抜いた数式を示すと、最大搭載可能数>=デッキの総石数になるように調整すると良いと思います。下のサンプル・デッキを例にして説明すると需要:黒魔(3)×2、ブレイカー(1)×3、図書館(3)×1、対抗魔術(2)×2=16個。供給:各(1)×6、力石(3)×2+見習い(1)×2=14個。このバランスなら、場に存在する限り、かなりの効果を発揮できるはずです。(自信なし...w

次に、プレイングで重要になるのが「効果発動の優先順位」です。つまり、ブレイカー(1)=罠、魔法除去、マリオネット(2)=モンスター破壊、対抗魔法(2)=魔法除去、黒魔(3)=BM特殊召喚、図書館(3)=1枚ドローと消費コストに違いがあります。早めに小魔法で消費するか、パワーを蓄え魔石を集中させて大魔法を使うかは、戦況次第と言う事。幸い、黒魔、白魔、ブレイカー、図書館は攻守のいずれかで1900以上の能力を持っています。場持ちはそれなりに期待できるので、魔石を墓地に流さないプレイングを心掛ける。つまり、使うタイミングこそ魔石デッキの『命』というのが結論です。


【魅惑の魔導戦士ブレイカー】

今回シリーズで、最も注目を浴びているカードだと思います。私は最初、不安定な攻1900、つまり蘇生した際に1600に落ちてしまう事実に気を取られ過ぎて、本質を見失っていたようです。このカードの正確な定義は【1600モン+ @サイクロン A発動前は1900】だと考えています。

@のサイクロン効果は文句なしに強いです。サイクロン以上に使えるのはまずはマジ☆キャン、勅命、魔封じ、魔球等のマジック・ブロックの妨害を受けない除去力...特に魔封じ、枷、バインド、護封剣等を使うロックデッキの天敵と言えるだけの威力を備えていると思います。特にウィジャ・デッキは存亡の危機でしょうか?隠された魔導書が登場したのが救いですけど...また、魔石が補給されることによって、繰り返しサイクロン効果が使えるのも見逃せませんね。サイクロンを蜃気楼自爆に使いたいターボ・デッキとの相性は抜群であることがわかります!

Aの発動前1900は付録効果のような感じです。つまり、相手の場にある罠、魔法を破壊してから攻撃!をメインとするなら1900である時間は極めて短い。力石で魔石を補給するとしても所詮1900ですから、相手の1900とは相打ち。サイコ、レッサー、ヴァロン、ゴブリン等には当然歯が立ちません!また、このカードは現在必要以上に警戒されているので、異次元、ならず、破壊輪だけでなく、激流葬、落とし穴、奈落の落とし穴などを駆使してまで徹底マークされるはずです。上手く効果を生かすためには最低2枚!次の制限改定で少なくとも準制限にはなりそうな予感がします。今のうちに3枚入れて使い倒しましょう!

さて、プレイングは単純明快で、通常召喚させて場の伏せ罠、護封剣等を破壊して攻撃!魔石デッキでは力石による補給。通常のデッキでは、見習い魔術師を1、2枚入れれば十分でしょう!帚、大嵐、サイク2を加えれば、罠、魔法除去は30%増しの感覚!攻1600のブレイカーがアタッカーに成り得るかどうかは、相手モンスターの処理に掛かっていると言えます。ですから、ブレイカーデッキでは、モンスター除去能力を20%程度UPを心掛けると良いと思います。具体的には、通常使われる除去+激流葬、地割れの2枚程度の感覚です。

今後、しばらくはブレイカーを意識したデュエルが続くでしょう!対抗する側としてはサイドには激流葬2枚程度忍ばせるのが安全ですね。ブレイカーだけでなく、水ウィルス等場にあるだけでウザいモンスターにも対策しなければなりませんし、戦士、地属性、水デッキ等の場にモンスターが並ぶデッキに対しても有効です!一時期のニュートのような人気を感じます。ニュートは過大評価され過ぎと言う声も上がりましたが、結局制限になりましたね〜ブレイカーも制限が妥当でしょうか?


【強く、美しきアマゾネス軍団!?】

第三期に入ってから新コンセプト・ラッシュが続いています。『墓守』『ユニオン』に続く、第3弾が前回解説した『魔石=魔術師』でした。派手な『魔石』の陰に隠れて、印象が薄くなっていますが、第4弾『アマゾネス』を忘れてはいけません!強く、美しき女性モンスターを中心として、遊戯王「原点回帰」殴り合いの爽快感!まさに、ファンデッキとして一級品と言えると思います。

既存のアマゾネスは「射手」「鎖使い」の2枚。今回「剣士」「格闘戦士」「聖戦士」「吹き矢兵」「ペット虎」のモンスター5枚。専用の魔法・罠では「呪詛師」「弩弓隊」「救出劇」の3枚が追加されました。モンスター10枚、魔法・罠3枚の墓守と比較しても遜色ないカードが揃っています。内容的には、墓守がバラエティに富んだコントロール型モンスターが多かったのに対して、攻守のUP・ダウンを中心としたパワー型モンスターが中心のようです。特にリリーの天敵と言える剣士、戦士にあって攻1800以上が約束された聖戦士、隊長などで守れば強い吹き矢兵、無限のパワーを秘めたペット竜はかなり強そう...単純なLPの削り合いが魅力です。これらをコントロール系の専用魔法・罠でうまくサポートする構図。これこそ遊戯王OCGの原点では!?

デッキ構成では、ネクロバレーの存在により、独特の癖を持つ「墓守」に対して、スタンダードに近いシンプルな構成が組めます。戦士が多いメリットを活かすなら、戦士デッキ寄りの構成が合っているような気がします。基本カード以外で相性が良さそうなのは、戦士増強の定番「コマンドナイト」展開力を活かす「隊長」「増援」「戦士の生還」こんな所でしょうか?使いどころが難しい「呪詛師」よりは、威力がある「弩弓隊」と、楽しそうな「救出劇」を使ってみたいところ...「救出劇」からゴブリンを場に出して、「弩弓隊」の連続コンボ!まさに孔雀舞のコンボ連鎖!!

プレイングではパワーと展開力を前面に打ち出した、力押し戦法が合っていると思います。コントロール・デッキで疲労した精神をリフレッシュするために、孔雀舞のような華麗な連続コンボを操り、潔い戦いを心掛けたいものです。繰り返しになりますが、「原点回帰」モンスターによる殴り合いの爽快感を満喫しましょう!!


【気になるコイツとアイツ】

今回シリーズで、一番気になるカードはコイツとアイツですね。ユニオン降臨で試みた新感覚の集大成...と言うより確実に壊れ形?w水と炎の組み合わせは「氷岩・灼岩コンボ」を、通常モンスターに意味を持たせる考え方は「大革命」から来ていることは確実です。同じ企画スタッフ、しかも、たぶん女性では?デザインはかなり微妙ですが、新感覚を評価して「恋愛コンボ」と名付けました!

「恋」★10・攻200守100、「愛」★5・攻守100という壊れっぷりです。考案者のバランス感覚は絶妙、遊び心満載!キラスネや死霊に破壊される上級は前代未聞。単体では全く使えない存在&コンボが大前提!発動出来ただけで「至上の喜び」を感じられる「究極のファンデッキ」かもしれませんね。

さて、恋愛デッキの目標はこの2枚を出来るだけ早く場に出して、確実に攻撃の通る態勢に持ち込むことです。現在のデュエルは高速なので、正直に生贄召喚を目指している暇はありません。そこで対策ですが...

1.コイツ(水属性)の召喚
水デッキと相性良いコイツは、攻200を活かしてグリズリーマザーで引っ張るのが基本。熊自爆、転移等を使って強制的に場に出します。コイツ、アイツ両方で汎用的に使える「遺言状」も使えそう。捨て手段として3枚(施し2+サンブレ)、蘇生系3枚(蘇生、埋葬、リビング)で、召喚率は期待出来ると思います。

2.アイツ(炎属性)の召喚
氷岩・灼岩とコンセプトを融合するならUFO投入はありえますが、★5は強奪と心変があれば十分だと思います。後は捨て系と蘇生系を多めにして、遺言状で補えば万全です。クリッターで早めに手札に持って来ましょう!

3.攻撃サポート
相手の伏せ罠対策として帚、大嵐、サイク2に加えて、サンブレ投入。水ウィルス用のキラスネ2枚でコストも問題なし!貫通3100の威力を確実に通すために、アクエリア2+月での強制守備。羊+転移でサポートします。番兵を投入すれば、戦略が立てやすく、クリボー対策にもなります。(お薦め!

最大の弱点はコンボが発動する前のパワー不足。護封剣、和睦、月、羊とアクエリア2、水ウィルス2、キラスネ2、魔球等で守備を徹底的に固めます。ブレイカー対策に、破壊輪+奈落+サンブレ+月で万全ですか?w

4.おわりに
はい、準備は整いました。思う存分、貫通3100の魅力を味わいましょう!


【新世代ウィジャ〜隠された魔導書】

派手なブレイカーの登場により、罠デッキ等のロック系が弱体化したと思っている方!いらっしゃいますよね?実は...いずれ結果はわかると思うのでノーコメントです!wさて、ウィジャ・デッキはブレイカーの影響を最も受けるコンセプトの一つ。4枚揃ってマジック・ブロックしても、魔石1個でまとめて墓地に流される...お先真っ暗ですか?

コナミのバランス感覚はここでも生きています。つまり、同時にウィジャの切り札が登場しているのです。それは「隠された魔導書」と「国立魔法図書館」の2枚を指します。ウィジャの歴史は墓地のメッセージをデッキに戻す手段の乏しさにより「箱入り娘時代」が続きました。セイマジ、ファイポだけでは、墓地流された後、心細かったのものです。ところが、魔導書の登場により手札抹殺やメタポ等でメッセージを流しても、2枚単位でデッキに戻すことを可能となりました。これは新感覚!しかも、2枚戻すというのが妙に怪しいですw 企画者はウィジャを意識していてくれたと信じて良いですか?w

手札抹殺、メタポ、苦渋が使えると言うことは、1キル型ウィジャの復活を意味します。つまり、手札抹殺、苦渋、メタポ+墓穴+月の書、太陽の書などの1キル・エンジンで積極的に死のメッセージを流して、後で魔導書でデッキに回収!早めにカラス・ロックを掛けておけば、安心して回収できます。そして、図書館の登場!基本的に1キルデッキは魔法が多いので、魔石が貯まるのが早い。特にT目次、精神統一、増援、成金などの圧縮系魔法とは抜群の相性!この感覚はぜひ、味わって欲しいです。

天敵だったハンデス、デッキ・デスも怖くないですね♪メッセージごと墓地に流して、速攻でカラス・ロックに持ち込み、ゆっくりと後で魔導書で回収...これはまさに、新世代ウィジャと呼ばれるのに相応しい、新感覚コンセプトだと思います。


【おわりに】

「黒魔導の覇者」で登場した代表的なカードで考えられる新コンセプトを中心に語ってまいりました。今回シリーズの図式は以下のように考えられます。

●メイン・テーマ=魔石、サブ・テーマ=アマゾネス、遊び=コイツ・アイツ
●エース=ブレイカー、サブ・エース=同族感染、隠れエース=図書館
●シリーズ・コンセプト=パワー&効果のバランスを取り、今後登場を期待される新コンセプトの基礎となるような汎用的なカードを揃える。

今までの1シリーズ=1テーマと比較して、かなりバラエティに富んでいます。それぞれの強力な効果も魅力的です。モンスターも攻守もそれなりで、殴り負けないだけの能力は備えています。スタンを初めとする普通のデッキにも十分入ると思います。特に前作(ユニオン)がコンボ絶対主義だっただけに、汎用的に使えそうな印象が強く残ります。

今回紹介出来なかったカードで今後の研究が期待されるカードは、

●魔導サイエンティスト(科学者): 新1キル用?融合モンスターが大活躍!
●魔導雑貨商人(商人): デッキ圧縮能力は馬鹿になりませんね♪
●デス・コアラ(コアラ): 新ダメージカード。図書館+太陽コアラですか?
●ネコ耳族: 新ロック・カード。コンボ前提では突破不能な壁となり得る。
●ビッグバン・シュート: 相手モンスターに付けてハリケで回収+除外!
●カウンター・マシンガン: 守2000を大量に投入!新カウンターデッキ
●精神統一: デッキ圧縮専用カード。コンセプトは斬新ですね。
●我が身を盾に: 非常食、人魚などの回復力があれば、使えそう!
●生命吸収魔術: 停戦協定の回復版、ビッグバンガール等の回復デッキ用!

たくさんありますね♪誰も気づいていない新コンセプトもたくさん眠っています。ポイントは「直感=第一印象=気になるカード」です。「おっ...これは!?」ひらめいた方は新感覚デッキの始祖を目指してみてはいかがでしょうか?今回紹介した私のサンプルレシピ11個と合わせて、近い内に「黒魔導サンプル・デッキ集」を特選レシピに作る予定。「新時代の旗手を目指す方は集まれ〜!」それでは!また〜