明快!1キル・デッキ


【Q1:1キル・デッキとはどんなデッキですか?】

1キルは1ターン・キルの略称。つまり、1ターンで勝負を終わらせることを目標とする超速攻デッキのことです。厳密に言うと、1ターン目で伏せた罠(補充要員など)を次の相手ターンでチェーンさせて勝っても、一応1キル達成としているようです。

デッキ性能は勝率と1キルの確率で表すことが一般的、究極の1キルと呼ばれた5月制限改定前の「宝札エクゾ・デッキ」を例にすると、感覚的には勝率7割、1キル率6割くらいの猛威を奮っていました。5月制限改正は1キル・デッキに抑制を掛けるための緊急措置と言われているほどです。それほど、強かったのは事実です!(過去形?

詳細は後述しますが、1キル・デッキの構成は他デッキとは著しく異なります。最適なデッキ構成とプレイングは固定される傾向にあり、後は運任せになることが強いのも特徴です。またテーマから外れた要素、例えばエクゾ・デッキでの攻撃力・守備力を犠牲にしているので、3ターンくらいまでに勝ち切らないと勝率が一気に落ちてしまいます。直線的デッキの代表格と言えるでしょう!

先攻で1キルを決められた場合、後攻側は全くプレイをすることなく負けてしまいます。これでは相手は納得出来ませんね...決闘者同士の駆け引きの面白さに欠け、対戦相手からは嫌われるデッキNo.1と言えるでしょう。1キルは相手が居なくても試せるので、勝負要素を期待せずにパズルとして楽しんではいかがでしょうか?研ぎ澄まされたデッキは独特の美しいオーラを放っています。観賞&パズル用と割り切れば、これほど面白く、奥深い分野は他にないと言えるほどです。それでは、早速1キルの世界をご案内いたします!


【Q2:1キル・デッキの歴史を教えてください!】

古くは海馬の「アルティメット・バースト」が有名でした。デビル・フランケンで究極龍を場に出して、巨大化を付けて叩き9000ダメージ!1ターン・キルではなく、まさに1撃キル・コンボは単純明快で、爽快感が漂ったものです。しかし、特定のコンボに頼リ過ぎるため、クリボーや和睦等で防がれた後は−5000のコストが重く圧し掛かり、ワンパターンの決まり手は飽きるのが早かったようです。巨大化が制限解除された後も流行りませんでした。イメージ的には最も「即死デッキ」に近くて好きなのですが...

1キルの歴史を大きく変えたのが「生還の宝札」の登場でした。ウィッチとクリッターを場と墓地間を往復させて、キーカードをデッキから引きつつ1枚ドロー...コストなしの永続魔法は強過ぎました!究極の1キル・デッキと呼ばれた「宝札エクゾ」を初め、「リボルバー型」「ビッグバンガール型」「アメーバ転移型」等、次々と登場!まさに、1キルの全盛時代を謳歌していました。5月の制限改定により全く姿を消してしまったのが残念。恐竜の全滅...みたいなw 宝札の能力を活かす為に必要だった手札抹殺、埋葬、成金ゴブリンが制限となり、能力50%ダウン...

宝札デッキの後期と重なるように登場した「現世と冥界の逆転」も衝撃的でした。すぐに制限化されましたが、危険な香りが漂うこのカードは1キルの歴史に一瞬ですが、確かな足跡を残したのです!ある意味、宝札よりも危険な存在でした。

そして、5月改定=1キル受難の時代に残されたのが、壺一族と「太陽の書」と「ラストバトル・検閲」です。宝札のような美しさには欠けますが、それなりの性能は持っています。これらは後で詳しく説明...して良いのでしょうか?w

個人的には1キルの範囲に入らない、蜃気楼デッキ(通称:ターボ)のような多様性を秘めた速攻デッキこそ、今後の主流になると考えています。しかし、登場後、受難続きのウィジャに似たような状況に追い込まれた現在の1キルこそ、デッキ構築者&決闘者の腕の見せ所ではないでしょうか?95%同じ構成になった宝札デッキと比較して、変化に富んで、楽しみ満載ですね♪


【Q3:5月制限改定が1キルに与えた影響は?】

長い1キルの歴史の中で、2002年5月1日の制限改定が1キル・ファンに与えた精神的ダメージは非常に大きく、まるで明治維新の「黒船来訪」のようです。これは、宝札と並ぶツイン・エンジンだった「手札抹殺」と重要な補助エンジンの「成金ゴブリン」「早すぎた埋葬」が制限化されたことにより、コンボ発動率が大幅にダウンしてしまったことによります。新たな1キル・エンジンとして開発が進んでいた「現世冥界」エンジンも登場後、わすか数ヶ月で制限化されてしまいました。

F1などのレースの世界でも、エンジン等のレギュレーション(規制)改定により、突出した存在。例えばかつてレース界を席巻した、ホンダ・ターボ等を抑えてきたのは有名な話。つまり、全体のバランスを取るために、出る杭は打たれる運命にあるのです!

しかし、F1のシャーシ、エンジンの設計者は絶対に諦めませんでした。常に制限の限界まで性能を高めたレースカーを開発して来たのです。まさに、研ぎ澄まされた極限美は、見るものを魅了し続けて止みませんね!常に挑戦者!これの気持ちが大切ですね。かつての宝札デッキは95%完成されたデッキとして、進化が止まっていました。5月制限によって逆風が吹いた今こそ。新たなる1キルの歴史が始まるのではないでしょうか?

制限化されて、従来の宝札デッキから抜くことを余儀なくされたカードは早すぎた埋葬2/成金ゴブリン2/手札抹殺2...この6枚分を補うカードを探してみましょう!

【候補1 壺太陽コンボ】 浅すぎた墓穴での特殊召喚+太陽の書による速攻リバースによりドローを狙うコンボ メタポ、サイポ+太陽の書が中心。手札事故が発生した時に、ファイポ・リセットで再挑戦出来るのもメリット。今後の1キル・エンジンの主力となると思われます。

【候補2 神殿トラップ】 王家の神殿を発動させて、強欲な瓶、無謀な欲張り等のドロー罠、宝札+リビングデッドなどを速攻発動させるコンボ。エクゾでは補充要員が相手の2ターン目に持ち越すことなく発動出来るのもメリット。マキュラは1枚でコンボ発動率が低く、手札抹殺も制限化されたことにより、捨て手段が限られてしまったため、かなり使い辛くなりました。

次章では、具体的な5月改定後のデッキ構築術の解説を行います。


【Q4:制限改定後の1キルデッキ構築術は?】

最初に必要なのが、テーマ...つまり勝ち方を決めることです。テーマを決めたら極力無駄を省き、キーカードを中心に徹底的に尖らせるのがコツ!相性が良いテーマとしては、古典である「デビフラ」「エクゾ」「リボルバー即死」昨年流行した「ビッグバン・エル祝」「転移アメーバ」「逆転」「ラスト・バトル」最近では「仕込みマシンガン」を中心としたバーン型が流行っているようです。

どんなタイプの1キルに入れても使える「基本カード(20枚以上)」、テーマに沿った「固有カード(5枚〜10枚程度)」、「ドローエンジン」(5枚〜10枚程度)の3つに分けて整理した上で組み上げます。車に例えると基本カード=駆動系固有カード=シャーシ(ボディー)、ドローエンジン=...そのままですね!w

最初に、基本カードから説明します。1ターンで出来るだけ多くのキーカードを引くために、手札を引ける(ドロー)カード群、デッキを減らす(圧縮)カード群が重要となります。具体的には強欲な壺、天使の施し2、成金ゴブリン、手札抹殺、苦渋の選択、ウィッチ、クリッター、ブラックホール、キャノン(ウィッチ等自爆用)、等。かつての圧縮代表格・サンダードラゴンは手札抹殺制限化により、捨て手段が限られて事故率UP...微妙な感じです。むしろ今後は精神統一、トゥーンの目次が面白いかも?w

1ターンに1枚しか通常召喚出来ないモンスターは少なめ、10〜12枚程度...効果発動が遅いリバースモンスターを使う場合、太陽の書、硫酸の溜まった落とし穴が必要。トラップを使う場合は王家の神殿、マキュラ等を投入します。コンボで初めて使えるカード群を多用するとは手札事故になりやすいので、注意が必要です。基本的にはモンスター:魔法:罠の比率は12:26:2くらい。神殿トラップ型なら12:22:6くらいが丁度良いと思います。

デッキを回すエンジンには以下のようなものが存在します。代表的エンジンの仕組を簡単に解説しますので、実際にデッキ回して試してみてくださいね♪

【1.宝札(+蘇生)エンジン】 宝札によるウィッチ、クリッタ蘇生+1枚ドロー。キャノンで飛ばすことによって、一石二鳥の連続コンボが可能です。エンジン構成:宝札3、死者蘇生、埋葬、墓穴3、リビング

【2.太陽(+壺)エンジン】 メタポ、ファイポ等を墓穴による裏守備召喚して、太陽の書で即時効果発動!月の書兼用で連続して効果を発動可能!硫酸の溜まった落とし穴で発動率を高める方法もある。エンジン構成:メタポ、サイポ+太陽の書2〜3、(月の書1〜2)

【3.神殿(+罠)エンジン】 王家の神殿を発動後、ドロー系の罠を即時発動させる。ビッグバンガール+エル祝、停戦協定、魔力の棘、仕込みマシンガンなど罠がキーカードだと一石二鳥となる。

【4.図書館エンジン】 黒魔導師の覇者で登場した「国立魔法図書館」が新感覚ドローエンジンです!具体的にはトゥーンの目次、精神統一、増援などのサーチ魔法を連続させて、魔石を貯めて、1枚ドロー...当然、1キル・デッキ=魔法デッキは相性が良いはずですね。

上記の4つを併用して、回転率を上げる方法もありますが、あまり欲張ると、事故率が上り、コンボ発動が重くなるので、出来るだけシンプルに作るのがコツだと思います。尚、基本カードはサンプル・しシピを参考にするのが一番!省略させていただきます。


【Q5:1キルのプレイングで注意することありますか?】

プレイングに入る前に1キルのマナーについて一言注意。対人戦で使う時は、事前に相手の了解を取るようにしましょう!その方がお互いの精神衛生上よろしいです。もちろん、ルールの範囲内ですから、事前に断らなくても使う権利はあります。しかし、勝っても負けてもお互いにモヤモヤが残ることが多いです。不意打ちする時は、それなりの覚悟を持って使いましょうね。

さて、1キル・デッキのプレイングはデッキ構築時にある程度決まっています。つまり、同じデッキを使っても、メカニズムを理解している人の方が1キル率が高いと言うことです。そして、それぞれの1キル・デッキには必勝形があり、これを目指して一直線に進むのです。必勝形に持ち込むには複数のキーカードを引く必要があり、その為には、手札の回転を止めないようなプレイングを心掛けます。ある局面で1枚余分に引けるかどうかが勝負の分かれ目になるからです。

1キル・デッキはある意味、極限までコンボ性を追究するデッキなので、他のデッキと比べて運=手札の引きは重要です。けれども、手札が同じでも、プレイの順番をちょっと入れ替えるだけで、意外と先に進めるものです。デッキには多重コンボ(複数の組み合わせが可能なコンボ)が含まれているからです。その意味で1キルのプレイングはパズルを解く感覚に近いと思います。そこで、パズルが得意な人に秘訣を聞いてみました。「最初は理論的に考えて解くけど、経験を積むうちに感覚的に正解手順がわかるようになるみたい(海女房。談」もちろん時には正解のないパズルになる可能性もありますが、1キル使いの心得として、最後まで決して諦めないことが上達への早道だと思います。

1キルのプレイングを磨くには、実戦経験しかありません!そして、意識的にプレイの順番を組み立てる努力をしているうちに、1キルの感覚が身に付いて来ることでしょう!今回の回答は抽象的でわかり難いかもしれません。1キルは理屈では説明できない独特の感覚を必要とするので、解説するのが難しいと言うのが結論です!まさに、習うより慣れろの世界ですね♪


【Q6:1キルの進化の方向性を教えてください】

5月の制限改定により、ほとんどの1キル・デッキは大ダメージを受けました。逆に考えると、制限改定で歯止めを掛けたことで、新たな1キル用カード登場の下地を作ったとも言えると思います。制限改定はカード構成が固定されて、進化の止まっていた1キルを新たな進化のステージに乗せたと言えるでしょう!

第三期のカードを注意深く見ると、新たな1キルの可能性が至る所に転がっていると感じています。つまり、第三期にはダイナミックなコンボ・カードが多いと言う事です。私自身もいくつか見つけていますが、始祖となる楽しみはこれをお読みの皆様にお譲りしたいと思います。1キル好きの方は、新たなる決闘者とユニオンの降臨、そして19日に登場する黒魔道の覇者のカード・リストをじっくりと見て、新1キルに挑戦してみてください!時間があれば、完成度を上げるお手伝いをさせていただきます。完成後は、特選レシピにくださいね〜

さて、最後に私の考える新時代の1キル・デッキ・イメージを上げてみます。
1.宝札時代の論理的緻密 から 感覚的大胆 の時代へ!
2.テクニカル・ドロー から 激圧縮型 の時代へ!
3.鑑賞用の美術品 から 実戦用の武器 へ!
4.魔法中心主義 から リバース太陽+トラップ神殿で補う時代へ!
5.95%完成したコンセプト から 80%進化途上のコンセプトへ!

結論:1キル・デッキは、やりがいのあるコンセプトに劇的に変化した!

1キル・ファンの皆様、そして、これを読んで新たに挑戦したくなった皆様。新時代の1キル先駆者を目指して、頑張りましょう!それでは!また〜


【補足:新時代の1キル・サンプル・レシピ】

黒魔導師の覇者で出た、1キルカードの1枚とは...そう!「王立魔法図書館」です!この新しい1キル・エンジンを使えば、こんなデッキを組むことが出来ます。

●新世代エクゾ・デッキ

★モンスター 12枚
エクゾパーツ5/Tキャノン/クリッター2/図書館2/メタポ/サイポ

★魔法 23枚
目次3/精神統一2/壺/施し2/成金/蘇生/墓穴3/月書2/太陽書3/手抹/回収/苦渋/神殿2

★罠 5枚
補充要員2/瓶2/欲張り

★サイド 15枚
マキュラ/ウィッチ/セイマジ/ファイポ/宝札3/埋葬/ハリケ3/精神統一/月書/瓶/リビング