明快!枷魔封じ(AC)デッキ


【Q1:枷魔封じデッキとはどんなデッキですか?】

その名の通り、魔封じの芳香と魔力の枷を中心として、相手プレイを縛るコントロール・デッキです。束縛の強さから、ロック・デッキと呼ぶこともあります。相手のLPが500を切った際、枷の束縛はいかに優れたプレイヤーでも逃げられない、正に足枷となるのです。これが最大の特長と言えます。実は主役は枷で、魔封じはサポート役という見方もできるかもしれません!

別名「1ターンの束縛」つまり、芳香により魔法を1ターン封じ、護封剣湿地帯などでモンスターを縛る展開に持ち込めば、戦局を常に支配することが可能です。芳香、枷と相性の良いハリケーンを同時に伏せて置けば、自分のメインフェーズ1で芳香と枷を手札に戻して、その間は自在に手札、魔法を操ることが出来ます。メインフェーズ2で芳香を伏せ、最後に枷を静かに場にセットして、再びACロックの完成です。

カードゲームは手札からプレイする宿命を持つので、枷は全てのデッキにメタを張れることが出来ます。ほとんど全てのデッキでキーとなる魔法は魔封じでロック!相手のプレイを巧みに操りながら、確実にダメージを与え続ける。その独特のプレイ感覚は、あなたを虜にすることでしょう!


【Q2:枷魔封じデッキの歴史を教えてください!】

その歴史は意外と古く、今から1年前に某HPで基本理論が完成しました。それ以前にも、全デッキのメタ(超越)となる可能性を秘めた魔封じの芳香は密かに注目されて来ましたが、この時期に「変速式」(枷+ハリケーン)「ゼロ式」(大嵐+激流葬・ハンデス)の二つの流派が確立されました。前者が現在「AC」と呼ばれるようになったタイプのデッキです。尚、ACは魔封じ=アロマ、枷=チェインの略と言われています。後に説明するチェインとはちょっと意味が違うようです。

魔封じの能力を徹底的に活かすことを目的としたこの二つの流派は、当時としてはかなり先進的でした。しかし、職人技の上に成り立つカード選定と超絶プレイングを必要としたことで、神秘性が漂い、誰でも気軽に使える雰囲気がなかったのも確かです。多くの決闘者の理解と実践にはその後半年を要しました。

「変速」と並ぶ元祖である私のWC(ウォーター・チェイン)は水属性モンスターの持つ守備力の高さ、コントロール性を活かした束縛(チェイン)デッキ。アクエリア、魔球、人魚、ペンソル、護封剣、湿地帯その後、貫通系であるスピアの登場が幸いして、1年掛けて、4代目まで進化することが出来ました。特選レシピに載っているものが、現在の「マイ一軍デッキ」です。更に磨いていきたいと思います。

昨年11月に水HPが開設された時、私の得意分野「水・ウィジャ・枷魔封じ」だけ独立したデッキ掲示板を作ってもらいました。その後はご存知の通り、「悪魔型」「地属性型」などが登場。最近「蜃気楼型」も現れて、バラエティーに富んできました。プレイングもわかりやすくなって、一部決闘者の間ではマイ・ブームとなっているようです。先駆者の一人として感無量です♪


【Q3:基本構成&相性の良いモンスターを教えてください!】

枷魔封じデッキは芳香2枚、枷2枚を固定で投入することを前提とします。1枚づつではコンボを計算できませんし、逆に3枚投入しても確実に引けるとは限りません。手札にダブる(事故る)と戦略の幅を狭くするからです。コンボに頼りすぎないで、手札に来なくても戦える構成を目指すべきです。プレイングに自信のある方は枷3枚も面白い。暴れ馬に乗っているような気分が味わえると思います。

この4枚を固定として、芳香で自分自身の魔法封じ(いわゆる自爆)を避けるためには、16−16−8構成が使いやすそうです。更に回収用のハリケーンは2枚以上!この6枚がキーカードです。6枚を抜くと16−12−6のバランス取れた構成。それぞれ+−1枚の範囲で調整しましょう!水属性、変速のスロー展開型はモンスターは15、6枚、地属性、ヴァロン系の展開型は多少モンスターを多めに、蜃気楼型はモンスターを14、5枚にして蜃気楼2、サイク3、非常食のスペースを空けます。個人的には魔法の多くなりがちで、安定感のない蜃気楼型と枷魔封じの相性は微妙だと考えてますけど...

モンスターではサイコの存在は魔封じの効果を止めるだけに微妙です。むしろ、ハ・デスで相手の引っ張りモンスター、リバースを封じることでアドバンテージを狙えるかもしれません。手札切れに陥りやすい弱点を補うパーシアス、メタポも使えます。ペンソル、墓守の番兵などの戻しモンスターは枷の存在をクローズアップさせることになります。また、ファイポのリセット力はLP差を付けた闘いでは有利に働きます。その他、ウィッチ、クリッター、トマト、グリズリーなどの引っ張り系は枷の効果を受けずに、場を支配出来るのが使えると思います。

新たなる支配者で登場したモンスターでは、アサシン、長槍兵、番兵、偵察者など相性の良いモンスター満載の墓守一族、芳香と相性が良く、場持ちの良い悪霊などに注目しています。詳しくは特選レシピのGC(墓守枷魔封じデッキ)などをご覧下さい!


【Q4:枷魔封じデッキと相性の良い魔法、罠は?】

通常、あまり使われない芳香、枷、ハリケ各2枚を固定とするので、スロットが空かずに苦労します。芳香での自爆を避ける目的も含めて、思い切って相性が良い魔法を優先し、優先度の低い必須魔法は抜くことをお薦めします。ある意味、枷魔封じには常識は通用しないと考えた方が良いかもしれませんね。

先に必須魔法での抜き候補を上げます。大嵐(芳香枷を自爆)、埋葬(コスト800は痛い)、心変わり(使いづらい)の3枚はたぶん不要。後は芳香発動中に性能が落ちるサイクロンは入れるとして1枚で良いと思います。プレイ負荷は上りますが、帚+ハリケ3でサイク抜きもあり。更にスリム化を図るには強奪、転移、月の書が抜き候補になると思います。

芳香により、罠除去(帚、大嵐、サイク)の発動を遅らせることが出来るので、護封剣、湿地帯、スケープ、月の書などの守備魔法。ミラフォ、筒などのカウンターはかなり使えます。また、破壊輪、停戦協定、扉越し銃などのダメージ罠は枷とのダメージ相乗効果を狙え、早期枷ロックを可能とします。

ゼロ式(大嵐型)ではサイコは使えますが、ACでは微妙...サイコ抜きの場合、芳香発動中はチェーン勝負になるので、罠は多めで良いと思います。芳香2、勅命、リビング、破壊輪、ミラフォ、和睦、停戦、砂塵、銃、筒...この中から7〜8枚入れれば良いと思います。尚、前5枚はほぼ必須です!

メタポが制限となった今、蜃気楼の回転力が大いに注目されています。やや安定感に欠け、狙いを分散させる。また、芳香が存在する時にサイクロンは相性が悪い(性能落ちる)ので、プレイが難しいと思いますが、今後の進化に期待というところでしょうか?


【Q5:プレイングで注意することありますか?】

枷魔封じデッキは基本的にはコンボ・デッキです。つまり必殺コンボが決まれば圧勝できる力があるが、運に頼る部分があるのも事実です。ある意味、同じコントロール・デッキであるウィジャと似ていますが、勝利条件の自由度が高く、キーカードを墓地に落とされてもリカバリー可能なので、こちらの方がずっと懐は広いのです!少なくとも慣れれば一方的に負けることはなく、必ず接戦に持ち込むことができるでしょう!

研究と実戦を繰り返した結果、デッキ構成と独特のプレイングにより、運に頼らずに勝てる戦術が見えてきました。まずはデッキ構成ですが、スタンダードが強いカードだけで構成されているのに対して、枷魔封じでは出来るだけ計算を狂わすカードだけで構成するようにする。そして、どんな手札からも多彩なコンボを繰り出せるようにプレイングを行うのがコツです。流れるような、どんな状況からもカウンターにつなげるプレイング!何故、このデッキが「チェイン・デッキ」と呼んでいるのか感じていただけると思います。もう少し、具体的に説明します。

1.魔封じ、枷などのキーカードに頼りすぎない
「これらを引けなかったから負けた」と仰る使い手の方もいらっしゃいますが、引けなかった場合の戦略、戦術を柔軟に変更して行くべきだと思います。例えば護封剣、湿地帯などを引いたら、守備を固めて隙をうかがう...クリッターを引いたら、ナーガをサーチして数ターン粘ってみる等です。

2.相手キラーカードの残り枚数を意識する
具体的には羽根帚、大嵐、サイクロン2、3枚とサイコショッカーです。うまく防いで、相手に破壊されにくくしましょう!時にはフェイントを掛けて、その状況で使わない魔法などを場に伏せて、サイクロンの無駄使いを狙うのも手です。魔封じにより溜まった伏せ魔法はハリケーンで巻き上げるので、番兵、押収でのピンポイント除去、メタモルによる一掃も魅力です。

3.相手の残LPを常に意識する
これが、勝利につながるもっとも大切なポイントです。モンスターでの攻撃はもちろん、破壊輪、停戦協定、魔力の筒などでLP差を稼ぎ、相手のLPを枷ロック可能な1000以下に落すようにしましょう!枷は後半ほど使えるのは当然です。相手のプレイ数に換算すると相手は残り何枚しかプレイ出来ないのか見えて来ますね♪


【Q6:枷魔封じデッキの進化の方向性を教えてください!】

実は、枷魔封じは独立したひとつのコンセプトであると同時に、他コンセプトを活かす補助エンジンのような存在でもあります。他コンセプトと組み合わせやすくお互いの力を引き出せるからです。同様の補助エンジンとしては、最近有名になってきたターボ(蜃気楼)エンジンとか、古くはハンデス(手札破壊)エンジンなどがありますね。これらは全てのデッキにメタを張れる特性のため車(デッキ)に積まれることが多いのです!

それぞれの補助エンジンには特徴があるのですが、最近これを二つ積んだ贅沢な車(デッキ)が増えてきたようです。例えばターボAC...個人的にはターボエンジンを搭載した高級車にチェーンを巻いて高速道路を走るような感じがして、心から賛成できないのですが、そのプレイングに慣れてしまえば、問題はないかもしれません。こうした複合デッキが台頭できた背景には、大嵐の制限化とウィッチの制限化によるサイコ召喚率の低下があると見ています。確かに伏せまくってもそのドロー力で何とかなるかもしれませんけど...

わかりやすさから言うと、例えば芳香で止めた伏せ魔法をハリケーンで巻き上げて、メタモルで墓地に流すのが変速的枷魔封じの良さでした。メタモルは相手手札にも効果が及びますからね...また、芳香はターボに欠かせないサイクロン、非常食のような速攻魔法のチェーン速度を二段階落すので実は相性は良くないのです。

「溜めて、一気に戻して(流して)刺す!」これが枷魔封じの本来の持ち味だと思います。じわじわと締め付けて縛り上げる戦略こそ、束縛(チェイン)デッキの名に相応しいと思いませんか?もちろん、今後、蜃気楼などを上手に取り込んで、安定度、完成度共に高いコンセプトに昇華する可能性は大いにあると思います。もしかして、これをお読みのあなたがネオACの旗手なのかもしれませんね♪それでは!また〜


【Q7.第三期・新時代のACとは?(ABS時代)】 2002年12月8日追加

WC(ウォーター・チェイン)等の旧枷魔封じデッキは、「黒魔導の覇者」でブレイカーの登場により、大ダメージを受けたと言われています。サイクロンの壁を突破して、一度発動すれば、魔法では簡単に破壊されない芳香も、モンスター効果には無力...護封剣、湿地帯、勅命、魔封じ、魔力の枷...大半のキーカードはコンボが外れた単体での弱さを暴露してしまいました。もっとも、ブレイカーは自分のターンに魔封じ、枷を自爆させることが出来るので、枷魔封じとの相性も良かったのですが...

「ガーディアンの力」で遂にチェインデッキの切り札登場!もちろん「スキルドレイン」のことです。枷魔封じは魔法とモンスターの攻撃に対する耐性を高く設計していますが、モンスター効果による無効化、除去には弱かったのです。例えば、サイコ、ブレイカー、同族、ならず、異戦士、ファイポ、メタポ...本来は相性が良いサイコではなくハ・デスを使って、これらの除去、無効化を試みたこともあるほどでした。

そして完成したのがこのデッキ...

●ABSチェイン

★モンスター 16枚
 サイコ/ゴブ突2/ガードナー/ブレイカー2/同族2/ウィッチ
 クリッター2/異戦女/ならず/メタポ/ファイポ/キラスネ

★魔法 16枚
 枷2/護封剣/湿地帯/サンボル/ブラホ/帚
 サイク/ハリケ2/蘇生/墓穴/壺/施し2/月

★罠 8枚
 芳香2/Sドレ2/破壊輪/勅命/リビング/停戦

★サイド 15枚
 ハ・デス/ニュート/スピア/ペンソル/死霊/キラスネ/使徒
 大嵐/サイク/ハリケ/埋葬/番兵/ミラフォ/精霊鏡2


ABSは自動車に詳しい方ならご存知のAnti-lock Braking System.のこと。急ブレーキを踏んだときにタイヤがロック(回転が止まること)するのを防ぎ、安全運転を助けるシステム。こんなイメージのデッキです。ここでは、中心となる魔封じの芳香(Aroma)、ブレイカー(Breaker)、スキルドレイン(Skilldrain)の頭文字と掛け言葉になっています。


【おまけ】 サンプル・デッキ集

1.WC(ウォーター・チェイン)
2.GC(グレイブ・チェイン)
3.地属性ACリサイクル式 byDukeさん
4.VAC(ヴァロンAC) byDukeさん