『新たなる支配者』考察


【はじめに】

5月16日の帰宅途中。1000円札を握り締めながら、近所のコンビニに寄る。エメラルド色に輝くパックを手に取り、天井にかざしてみる。「新たなる支配者」。第三期シリーズ第一弾として、装いも新たに、満を持して登場しました!

国際統一ルールに従った、カード・デザインは大人の雰囲気が漂います。モンスターの右下には「ATK1500 DEF1000」の文字が光って見えます。子供コミックから始まった「遊戯王」、一部からガキの遊びと軽蔑された「OCG」は、子供から大人まで楽しめる本格派カード・ゲームへと進化したのです!

この機会に、我々決闘者(デュエリスト)は「新たなる気持ち」を込めて、遊戯王OCGに向き合おうではありませんか!修羅場を踏んだタフな精神に、初心者の様な初々しい魂...そして、友の待つ決闘場に向かいましょう!

【全体の印象】

今回の目玉は何と言っても「墓守」シリーズでしょう!今までも、トゥーン、スピリットなどの特殊モンスターがありましたが、墓守は実戦的で、地味に使えそうなものが揃っている感じ。これならスタン系に入ってくる可能性もありそうです。タイミング良く、制限改定で1500以下モンスターの価値が上がっているので、トマトと組み合わせれば使い勝手が良さそう...バリエーションが豊富な墓守の詳細は後述します。

その他モンスターではゴーレムが目立ってますね。ただし、専用デッキ用なので、ジェロイド、バイサー、ニュードリアなどの方が使い勝手は良さそう。墓守同様1500以下が実用的だと思います。

第三期シリーズの最初だけあって、新鮮な感覚の魔法と罠が多い感じです。ただし、大半がコンボの実現率や安定性には欠けそうなので、性能を活かすデッキ構成次第かもしれません!あとは、ネクロバレーとテラ・フォーミングの出現がフィールド魔法の概念(使えない)を崩せるか?興味ありますw

コンボ前提のカードが多いのは良いことです!しばらくの間は色々組み合わせて楽しめると思います。もちろん、2ヵ月後に残っているコンセプトは一部かもしれませんが、その頃には次のシリーズも出ているでしょうし...コナミの商売人根性には頭が下がりますねw

【墓守シリーズについて】

今回パック50枚中、墓守、バレーの記述があるカードは、モンスター9、魔法2、罠1の12枚、幸運、不幸、シャブティなど相性の良いものを含めて16、7枚ですが、全体に占める割合以上に強烈な印象を与えています。墓守のコンセプトがしっかりしているので、スピリット、トゥーンなどと較べて汎用性が高い。つまり、他コンセプトと組み合わせやすいのが特長です。スタンダード型、ハンデス型、圧縮速攻型、蜃気楼型、枷魔封じ型...などなど、全て強いと思います。

墓長を除く墓守モンスターは全て闇で1500以下ですから、トマトで召喚可能。特に長槍兵、アサシンの2枚は待望久しかった、使える★4闇1500と言えます。★4の主力1900の次は1400クラスとなりますので、実は1800〜1500のモンスターは攻撃力の差をあまり感じません。と言うことはトマト、クリッターでサーチ可能な1500は使い勝手と攻撃力のバランスが最も良いと思います。

次に展開力の高さについて。今、流行のヴァロン・デッキや増援戦士デッキ等に負けない展開力を持っていると思います。キーカードは墓守の長と墓守の偵察者、降霊の儀式...ネクロバレーで相手墓地をロック可能なので、益々場のアドバンテージを優位に保つことが出来そうです。これはかなり魅力です。

次に各モンスターの効果の良さについて...最高です!今までの強いモンスターと比較して一回りコンパクトにまとまった印象ですが、奥が深そうです。闇の1500以下で統一しているので、かなり使い勝手が良いです。長=ヴァロン(ちと違うw アサシン=アクエリア、長槍兵=スピア、剣角獣、偵察者=ピラミッド亀+ナーガ、番兵=コマンド+ハネハネ...監視者は相手の施し、ジャマー、手向け潰しの新感覚カードですね。

ただし、手放しでは喜べません。明確な弱点も同時に背負っています。それはネクロバレーを引くまでの攻撃力の低さとフィールド魔法を前提とするプレイング負荷の重さです。つまり1900・1枚に対抗するために、バレー+1500の2枚が必要になる...強力なスタンに対抗するためには、デッキの連係を強め、プレイングを磨く必要がありそうです。それだけに、燃えるものがあるのも確かですけど...w

【その他モンスター】

墓守一族以外で最も目立っているモンスターと言えば、ゴーレムで決まりでしょう!火之迦具土、スフィンクスの流れを汲む重量級モンスター。それなりのデッキ構成が必要になるかもしれませんが、召喚にさえ成功すれば、かなり楽しめそうです。私自身、検証が済んでいないので、詳しくは別の機会に語りたいと思います。

その他★4以下モンスターは実用的なものが多そうですが、入れるデッキは選びそう...そんな中で、ダークジェロイド「DJ」は文句なしに強いです。単体でも相手1900を倒すことができますし、ハデス=1650、サイコ=1600、ロード=1200と手頃な攻撃力まで落とせるのは魅力です。トマトからの展開も可能ですし、今後スタンダードに入ってくるかもしれません!

フクロウ、黒猫は魔法、罠サーチ可能な新感覚カード、聖なる魔術師、闇の仮面より序盤から終盤まで使えそうです。ネクロバレーが場にない時、使い勝手が悪くなる弱点がありますが、ネクロバレーそのものを早期に引きたい時には、デッキの一番上でも有効かもしれません...早めに検証したいと思います。

その他で気になるのは、バイサー、ニュードリア、スネークポッドなど。やはり、コンボ前提カードなので、デッキ構成次第という感じ...イマイチ、感覚がつかめません。サンプル・レシピの登場が待望されるところです。

ところで、特定カードの専門家、熟達者、職人のことをマスターと呼びます。例えば、「バイサー・マスター」「ニュードリア・マスター」など...特に先駆けて極めた人は名乗る資格十分ですね。ぜひ、狙ってみてはいかがでしょうか?

【気になる魔法】

今回シリーズは、危険な香りのする魔法が多いのが特長です。危険な魔法でない可能性が高いのが、ちょっと悲しいですけどw 代表的なのがネクロバレー、テラ・フォーミング、王家の生贄の墓守ご用達カード群です。その他の魔法カードからも、ただものではない雰囲気が漂ってきますね。

突然変異!これは融合革命を起こすかもしれません。今、流行のヴァロンは展開力が高いだけに有力な生け贄候補。引っ張ってくる融合としてはナイトメアを駆る死霊、バルターなどなど...ものマネ、羊の★1からサウ・サクを引くのも渋いです。融合モンスターを状況の応じて選択出来るのがよさげですね〜

大逆転クイズ!詳しくはいつか語りますが、組み合わせ次第では、危険度No.1かもしれません。成金ゴブリンが制限になったのはこいつのせいか?w 上手にデッキを圧縮させつつ、双子、押収、埋葬、検閲などで自分のダメージを貯められると、「新たなる1キルデッキ」の香りが漂います(意味深

黒蛇病!チャットで誰かが、黒死病(ペスト)と間違えた〜と仰っていたのが印象的。巨大ネズミと組み合わせるとまるで...じわじわと恐怖が広がってくる感じがよさげです。ネクロバレーとこのカードを守るために、マジック・ガードナー復活の予感w

この他にも、名推理、ショット・ガン・シャッフルなどはコンボ次第で超強力!新たなる1キルの予感が...勇気の旗印とタイムカプセルも地味に使えそうな感じです。

既に単体で強力な効果を発揮出来るカードは出尽くした感じですが、今回シリーズは絶妙に強いカードが多いのが興味深いです。つまり、コンボ至上主義!制限改定の意味が徐々にわかってきたような気がしています。

【気になる罠】

今回、最も充実しているのは罠と感じている方も多いと思います。販売直前の制限改定でウィッチ、大嵐を制限化して、活躍できる下地を作った上で、曲者罠を多数投入したコナミの狙いは明らかですね。

サンダー・ブレイク、地獄の扉越し銃、黒板消しの罠、絶対不可侵領域...その大げさなネーミングからも、製作者の意気込みを感じます。ただし、その凶悪な効果を使うためには重いコストを払う必要があります。そのコストを常に準備する余裕を持つことが、使いこなすコツだと思います。

サンダー・ブレイク...死者への手向けの強化罠版。捨札コストを用意出来れば、モンスター、罠、魔法の種類を問わずに破壊することが可能!普通に考えればキラスネが捨札要員、場合によってはモンスターを捨てて、蘇生...墓地をコントロールする墓守モンスターと相性が良いですね。

地獄の扉越し銃...雷仙人の5000ダメージを相手に移せるかどうかで、このカードの価値が決まるかな?w それ以外でも、破壊輪、シリンダー、ビッグバンガールなどのダメージを相手に移せるのは魅力ですね。戦闘以外のダメージはたくさんありますから、考えるのが楽しいです。

黒板消しの罠...直接ダメージに対するカウンター&ハンデス。組み合わせるカード次第では、かなりやばいと思います。今後は安易にダメージ・カードを使えない時代になると同時に、キラスネの価値の増大!これを除外出来る異次元の戦士、光の追放者の価値も玉突きで増大しそうです。

絶対不可侵領域...大げさな名前の割には、効果は弱く感じますか?確実にダメージを通したい、例えば八汰烏、魂を削る死霊とコンボを組んで確実にダメージを通すと...やばいです(汗 なにげに、和睦、クリボーのどちらかは投入必須の時代が来たのかもしれませんね。

【おわりに】

とりとめもなく、感想を語ってまいりました。実際にデッキを組んで回したのは墓守だけなので、残りカードの評価については、自信がありません。ただし、単体で最強クラスを輩出したマジックルーラー、アヌビスの呪いと比較すると、シリーズそのものの迫力には欠けるというのが正直な感想です。あくまでも、コンボ前提!凶悪な効果を使うためにはコストを払うか、プレイ負荷を重くする副作用を伴います。

今回シリーズから漂ってくるコナミの意図について考えてみました。「5月改定の意味」でイメージした今後のデッキ像、プレイング像は間違いではなかった。今後は、デッキにある1枚、1枚のカードの価値、常に選択を求められる柔軟なプレイングが重要になると確信しています。

「新たなる決闘者」の皆様!過去へのこだわりを捨てて、新たな気持ちで遊戯王OCGと向き合おうではありませんか!カードが増えすぎたため、既存の理論では全てを説明することは難しくなりました。つまり、何が場に出てくるか読めません。こんな時、信じられるのは自分や仲間の経験を通じて育まれた「感性」だと思います。「柔らかい感性」を確立することから始めたいものですね。それでは!また〜