【はじめに】
『デッキ:一連のカードの集合体』と辞書に書いてあります。遊戯王を知らない方にとってはただの紙の集まりでしかないかもしれません。しかし、一度決闘者が手にすれば、剣となり、盾となり戦場を縦横無尽に暴れまわるのです!決闘者は自分との孤独な戦いでもあります。そんな時、頼れる唯一の戦友...それが「デッキ」だと思います。
決闘を離れた平穏な日々には、デッキは総合芸術品のような存在となります。多くの熟練決闘者の手によって磨き抜かれたデッキは、鑑賞するのに相応しい存在。周囲に美しいオーラを放っています。
美しいデッキを完成するためにはテーマ、コンセプトへの深い理解が必要です。当然、ルール、カード、コンボを熟知していることが前提となります。完成度80%までは、比較的簡単に持っていけますが、ここから先の20%は険しい道のりとなります。残り20%はそれぞれの決闘者のスタイル、プレイングを含めた感性を活かせる世界!
デッキ構築はある意味孤独な作業です。決闘者仲間のアドバイスを受けながら進みますが、最終的に決断を下せるのは「構築者」だけなのです。あなたは決断を下せますか?もちろん、私は何も強制するつもりはありません。しかし、決断を下すための道標の一つとして「構築者の心得」をお読みいただきたいと願っています。
夢と浪漫を抱きながら、いざ!デッキ構築の旅に出発しましょう!
【テーマとコンセプト】
まずは用語定義から。『テーマ:創作の根本的意図・題目・中心課題など。』つまり主題のことですね。例えば戦士デッキ、ラヴァデッキなどを示します。『コンセプト:既成概念にとらわれず、商品やサービスを新しい視点からとらえ、新しい意味づけを与える考え方。』これはビジネス用語で、やや難しいです。無理矢理、遊戯王に当てはめると、ハンデス、デッキ破壊、1キル、最近では枷魔封じ(AC)、蜃気楼(ターボ)などが近いと思います。テーマより示す範囲が広いかな?wテーマがあくまで構築者の興味(ファン)の中心を示すだけなのに対して、コンセプトの方は勝つための手段...つまり、戦術、プレイングに近いようです。ちなみに、スタンダードデッキは相対的なものなので、コンセプトとはちょっと違うような気がします。
話は変わりますが、私の居るIT業界ではテーマ、コンセプトを決める段階を要件定義と呼び、システム開発の最重要フェーズです。要件定義=システムの使い道、目的を考えること。全てのシステムには必ず使い道があります。莫大なお金を掛けるのですから当然ですよね!最も効率的に目的を達成出来るシステムが「良いシステム」と評価されます。要件定義がしっかりした開発は、流れ作業で実に効率が良いです。ある意味、要件定義の段階で、イメージの世界ではすでにシステムは完成しているのかもしれません!(難
システムをデッキに置き換えてみると、全く同じことです。どんなデッキにも必ず目的はあるはずです、「決闘に勝つため」「純粋にデュエルを楽しむため」「観賞用」中には「単なる思い付き」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はデッキ構築の過程そのものを楽しんでいるのです。テーマやコンセプトが決まると自然とデッキの形は出来てきます。また、デッキ投稿する時に良いアドバイスを受けやすいですし、テストプレイする際に、修正ポイントを見つけやすいなどリットがあります。逆にテーマ、コンセプトなしでは熟達者でもデッキを組めませんよ!w 初心者の方はテーマ、コンセプト決定から入るのが上達への早道だと思います。
テーマとコンセプトは難しく考えずに自分の好きなもの、サンプル・レシピを見て使ってみたいものなど、気軽に入りましょう!経験を積んでデッキ構築が上手になると新コンセプトを生み出す楽しみが出てきます。遊戯王業界で広がって始祖と呼ばれるようになれば至福ですね♪(新テーマは難しいですよ!w
【デッキ枚数】
ほとんどのデッキ構築コラムでは「40枚がベスト!」と解説しています。その理由はサンダーボルトや王宮の勅命などの強いカードをドローする確率が高くなるからと言われています。補足すると、デッキの中心カード例えばターボデッキにおける悪夢の蜃気楼など、またはコンボ前提カード例えば墓守一族とネクロバレーなど出来るだけ早く手札に引きたい場合に全体のカード枚数が少ないのは確かにプレイングが楽です。42枚では3枚積みが必要そうなキーカードも、40枚では2枚で十分...使い勝手はほとんど同じ感覚です。2枚の差ってかなり大きいのです。
40枚デッキはコンセプトがはっきりしてシャープな印象。対して42枚では戦略の幅が広がってふわっとした印象です。強いカードだけで構成したいスタンダード、早めにキーカードを引きたい速攻系は40枚であることが、必須ですが、それ以外のデッキは42枚でも特に問題ないと思います。上級者の方は意図的に、41枚、43枚と半端にしたり、99枚デッキなどを構築したりしますが、これは本人が納得しているので全く問題ないです。けれども、初心者のうちは40枚デッキにこだわることをお薦めします。
40枚にこだわる理由は、デッキ構築の心構えが身に付くからです。特定テーマに相性の良いカードを投入しようとすると、中々40枚には収まりませんね。どうしても、涙を飲んで捨てるカードが出てくるはず。この際に、捨てるカードが多いほど、構築技術が磨かれると思います。時には必須カードも捨てなければならない...厳しい状況に自分を追い込むことによって、特定のテーマ、コンセプトに対して必要なカード、微妙なカードの判断力が身に付くのですね。今日からデッキは40枚。ぜひ、試してみましょう!特にデメリットはないはずですから...w
【デッキ構成】
デッキ構成とは40枚中のモンスター、魔法、罠の各枚数のことです。鑑賞の際、ほとんどの方が個別のカードを見る前に構成を確認すると思います。つまり、デッキ構築において構成は重要な要素なのです。何故、構成が重要なのでしょうか?それは、プレイングのしやすさ、言い換えると「流れ」に密接に結びつくからです。鑑賞者が頭の中でシミュレーションする際に、無意識に構成を参考にしているはずです。
モンスターは基本的に1ターンに1体しか通常召喚出せません。しかも、上級を出すには生け贄が必要となります。手札にモンスター(特に上級)ばかりになるとプレイが難しくなり、流れを止める原因になります。これを「重い」と言う言葉で表現します。逆に、手札にモンスターが1枚もないと、ダメージを与えられませんし、次のターンに直接攻撃される可能性が高くなる。これが「モン切れ」と呼ばれる最悪の事態です。上級、特殊召喚系、手札からプレイするもの、...種類によっても構成は変わってきますが、モンスター枚数が構成の基本となります。通常のデッキでは16〜18枚が最適枚数です。蜃気楼デッキ、1ターンキルの速攻デッキなら13〜16枚に減らすと、プレイが楽になるでしょう!
魔法は強欲な壺、天使の施し2の全てのデッキに必須と言えるカードを初め、サンダーボルト、ブラックホール、ハーピィの羽根帚、死者蘇生、サイクロン等、ないとプレイが成り立たないほど強力なカードが多いです。基本カードだけでも13〜15枚はあります。デッキ固有カードは3〜5枚しか入れるスペースがありません。魔力の枷、悪夢の蜃気楼などを使った個性的デッキは普段使われない魔法を複数投入することになるので、基本カードを外す必要に迫られるかもしれません!デッキ構成の際に最後に魔法の選択で悩むはずです。まずモンスターと罠の構成を固めてから調整するとデッキが組みやすいと思います。
罠は次の相手ターンにしか発動出来ない(効果の遅さ)。相手の羽根帚、大嵐、サイクロンなどで除去されてしまう(確実性のなさ)で使い難かったのですが、サイコショッカーの登場により一気に使い道が限られてしまいました。5月改定で大嵐の制限、ショッカーを引くウィッチの制限で多少は復権の兆しはありますが、それでも通常のデッキには4〜6枚くらいしか入りません。重要度で並べると、王宮の勅命、リビングデッドの呼び声、破壊輪、ミラーフォース、和睦の使者...あとは何枚も入れるスペースがありません。実は罠は相手の意表を突きやすく、タイミング良く発動出来るとデュエルの流れを一気に有利に進めることが出来る上級者好みのカードです。使う自信があれば、個性的な罠を1、2枚入れて使ってみましょう!w
スタンダードなデッキでは17−18−5の構成でそれぞれ+-1枚の範囲で調整するのが一般的なようです。ただし、テーマやコンセプトやプレイングによっても最適構成は違ってくるので、最終的にはテストプレイした結果で判断するべきです。構成は重要な要素ですが、こだわり過ぎることはないと言うのが結論です!
【基本カード】
ここで言う基本カードとは、以前使っていた必須、準必須に近いカードを指しています。必須、準必須と言うのは強い意味を持ちますが、必須カードは存在しないと言うのが結論です。もちろん、強欲な壺、天使の施し×2は全てのデッキに入れて損はないカードですが、持っていない方に対して強制出来ないので、基本カードという表現を使うことにしました。基本カードがない時には、やや性能が落ちますが代用カードを使うと良いと思います。徐々に強い基本カードを揃えていくことにより、デッキの強化を実感出来るでしょう!気軽に基本カードが集められる遊戯、城之内、海馬ストラクチャーから入ることをお薦めします。
モンスターは構築者の趣味で選べるので、基本カードは意外と少ないです。上級では「人造人間サイコショッカー」、生け贄1枚で済む★6として最高クラスの攻撃力2400に、ウィッチによるサーチ可能、罠の無効化こそ最大の魅力。デザインに問題はあっても入れたいですね。後は、攻撃の中心となる★4の1900を2枚とゴブリン突撃部隊1枚、手札にモンスターを選んで持って来れる「黒き森のウィッチ」、「クリッター×2」の引っ張りモンスターと止めを刺すのに便利な「キャノン・ソルジャー」。モン切れを防ぎ、天使の施し、ジャマー、サンダーブレイクのコストに使える便利屋「キラー・スネーク」これで9枚です。
魔法に制限カードが多い事実が示す通り、基本カードは多いです。除去系では「サンダーボルト」「ブラックホール」「ハーピィの羽根帚」「大嵐」の制限級に汎用的に使える優秀な速攻魔法「サイクロン×2」モン除去として使いやすい「地割れ」か「抹殺の使徒」のいずれか投入で万全です。ドロー系としてどのデッキでも使える「強欲な壺」「天使の施し×2」コントロール系では「心変わり」「強奪」「強制転移」この内2枚は入れたいところです。蘇生系では「死者蘇生」「早すぎた埋葬」も5月に制限になったように優秀なカードです。防御系としては「光の護封剣」「スケープ・ゴート」「月の書」から1枚投入。ハンデスカードと言うよりノーコストのスパイとして有効な「強引な番兵」もデッキ多様化時代の基本カードかもしれません。これで最低14、5枚にはなります。他にも優秀なカードがありますので、バランスを考えて最後に調整しましょう!
罠は構成の時に説明した通り、5、6枚しか入りまえんが、半分以上は基本カードと呼べます。「王宮の勅命」「リビングデッドの呼び声」に「破壊輪」「ミラーフォース」「和睦の使者」これでスロットが埋まります。基本に準じる罠として、ダメージ系の「魔法の筒」「停戦協定」破壊力の「激流葬」。後はマジックブロック系の「マジック・ジャマー」「魔封じの芳香」「マジックドレイン」これくらいです。後は意表を突くカード...スペースの足りなくて意外と悩むかもしれませんね。
私の持論として、基本カードはデッキに30枚以上あるとプレイングが楽だと思います。残りの10枚...特にモンスターにオリジナリティを活かせれば十分決闘が楽しめると思います。プレイングに自信がついたり、コンボに熟知した方は基本カードを20枚程度に押さえ、使われないカードを中心に組むと、より楽しめるかもしれませんよ!w
【デッキ構築手法】
いよいよ、この章から当心得の核心に入ります。詳しい説明に入る前にここまでの復習をしておきましょう!
1.まず最初にデッキのテーマとコンセプトを決める。(重要) 2.総枚数は40枚!(ただし、心構えとして)
3.構成は17−18−5(各+−1)が基本(ただし、実戦結果重視)
4.基本カードは30枚!(とりあえず意識に置くだけ)残り10枚でオリジナル性を活かす。
この前提でデッキを組んでみましょう!まず、5以降を並べてみます。ここでは骨子だけ説明します。詳細は「構築者の心得(後編)」で説明する予定。
5.テーマ、コンセプトに合ったカードを50枚程度集める。
6.モンスター20枚→罠8枚→魔法22枚くらいに決めていく。この順番に決めて行き、最後に魔法で調整すると良い。 7.最初はテーマ、コンセプトを尖らせた上で5枚ほど捨てる。 8.最後にバランスを取って残りを捨て、40枚に絞り込む。 9.捨てた10枚を吟味して、微妙なものはサイドデッキに残す。
ここでまででとりあえず80%くらいは完成です。最初から完璧を目指さずに、デッキ投稿と、実戦テストを通して調整出来る余地を残して置くことをお薦めします。構築する際には、個性を活かす中心的テーマ、コンセプトには徹底的にこだわるべきですが、サポートするカードに付いては自由な発想で、不要なこだわりを捨てるのがコツだと思います。柔軟性が必要です!
さて、最後は仕上げです。これも後編で詳細は説明する予定です。
10.デッキ投稿(このHPでは調整室)、実戦テストで調整する
11.鑑賞室に投稿して、コンセプトに対する感想、今後の進化の方向性などを募集する。
12.会心のデッキ、他の決闘者に使って欲しいデッキは「特選レシピ」に記録しておく。テーマ、コンセプトに自信があれば「殿堂」へ挑戦!
良いデッキ・レシピは想い出になりますし、他の決闘者にも刺激を与えます。サンプル・レシピを見て「良し!自分も...」と燃えることは多いですからね♪ここの「特選レシピ」「殿堂」では幅広く、斬新なデッキを募集しておりますので、気軽に参加してくださいね。それでは、また〜 (続く)
 |