ネーミング理論


【はじめに】
私は学生時代に「意味論」という風変わりな学問を学びました。まさか、これが私の人生にこれほど大きな影響を与えてしまうとは...さて、意味論とは物体や事象についた名前=言葉とその背後に隠された真の意味の関係を探求する学問です。私は英文科だったので英語の研究をしました。例えば、Sl-Sk-で始まる言葉は滑るイメージが多い。例えば、Slip(滑る)Slide(ずらす)Skip(スキップ)Skate(スケート)Ski(スキー)などです。Fi-Fu-は溜め込む(→爆発)イメージが多い。Fill(満たす)Full(満たされた)Fire(炎、発射)Fight(戦う)など。これは偶然ではありません。Sl、Skは舌を滑らせ、Fi、Fuは唇に息を溜めますね?例えば、火をふーふー吹いていたのが「ファ」イアーになったと考えてみてください。日本語でも昔は火(ふぃ)と発音しており、変形して火(ひ)になったと言われています。長い年月を掛けて、イメージの世界→現実の世界→肉体的感覚→言語と進化して来たと言われています。次に、プラトンの「イデア論」的に考えてみましょう!あなたが今座っているのは?...そう「イス」ですね。それでは、分解して「イ」+「ス」個々の意味は何でしょうか?「ごちゃごちゃ言うな、昔からイスと決まっているぞ!」そう思われた方に質問します。誰が決めたのですか?外国人に言って意味が解りますか?かなり混乱させてしまったので、そろそろまとめに入りたいと思います。名前=言葉は「共通の環境」に居る人達が、「共通の印(文字)」として認識出来るからこそ、文字の並びが頭の中でイメージとなって浮かぶのです。つまり、実体をイメージ化するための大切な印、それが名前なのです。奥が深いと思いませんか?話を変えますが、ご両親があなたの名前を付けた時の気持ちはどうだったのでしょうか?名前に込められた深い意味について考えてみてください。そして、あなたの子供であるデッキ、いいかげんな名前付けていませんか?さあ!ネーミング理論を始めましょう!!

【コンセプトを表す】
序章で、名前が実体を表現していることを説明してきました。ここで言う「共通の環境」は遊戯王愛好者の世界です。そして「共通の認識」は遊戯王の用語だと思います。遊戯王を知らない人に「トマト・ハンデス」と言っても理解してもらえません。未知の世界なのですから当然ですね。デッキ名の多くは、デッキ・コンセプトを表現しています。「スタンダード」「ハンデス」「デッキ・デス」「枷魔封じ」「ウィジャ」....更に内容を細かく説明するには、主力モンスターの属性、種族などを付けるが一般的です。「水枷魔封じ」。場合によっては引っ張りモンスター。例えば「トマト・ハンデス」などです。ほとんどの属性を統一したデッキは単一属性略して「単」を付ける場合もあります。「風単デッキ」、「炎単デッキ」など...何故か単一種族は「単」を入れません。語感が悪いからでしょうか?「戦士デッキ」「悪魔デッキ」「ドラゴン・デッキ」などが代表格ですね。特定のカード名を付けてるものもあります。有名なのは「サウサク・デッキ」「ネクロ・デッキ」「ビッグバン・デッキ」などです。面白いと思うのは、誰でも使う必須クラス・カードはコンセプトの中心だとしても名前にならない。「サイコ・デッキ」「サンボル・デッキ」「護封剣・デッキ」こんなデッキ名を聞いたことありますか?私はありません(笑 つまり、無意識に他人と違うオリジナリティ(個性)の部分を強調してネーミングを付けているようです。例えば「ハ・デス・ハンデス」を診断する時、悪魔を抜いて戦士にした方が良いとか、番兵、ドレインは抜いた方が良いという人少ないはずです。何故でしょうか?たぶん、デッキの広い意味でのコンセプト、進化する方向がデッキ名に隠れた真の意味なのです。デッキ診断する時に、デッキ名を見ただけでイメージが広がりますよね♪このイメージというのが非常に重要なので、次の章で詳しく説明したいと思います。

【イメージを広げる】
例えば「水枷魔封じデッキ」...とても解りやすい名前ですね。漢字は見ただけで理解出来るのは良いですが、なんか堅くて面白みに欠けると思いませんか?「戦士デッキ」「悪魔デッキ」...なんか月並みですね。個性がちょっと...そこで、イメージを広げて診断者の感性に訴えるネーミングを考えてみることにしましょう。一番簡単なのが英訳することです。最初の例「水枷魔封じデッキ」で考えて見ましょう。水=ウォーター、枷=チェイン、魔封じ=マジック・ブロックですね。全部つなげると長過ぎるので、「ウォーター・チェイン」!なんか格好良い響きですね♪英訳のメリットは略称が付けられることです。ついでにバージョン(世代)も付けてしまいましょう。「WCU」完成です。すぐに意味が解らないので、ちょっと考えますよね!軽いクイズのようなものです。この「間」というものが、見る人のイメージを広げ、感性に訴える重要なものなのです。たぶん、見ただけで解るものは印象が薄く、見る人に「参加」してもらった名前は覚えていてもらえますよ♪別の例をあげてみましょう。「ドラゴン強制接収デッキ」→「ドラゴン・ダンピング」何も無理やり英訳しなくてOKです。直訳すると「ドラゴン・コンパルソリー・リクイジション」何のことかさっぱり解りませんね!(笑)クイズの難しさにも限度がありますので、強制接収→投げ捨て→ダンピング。このイメージであれば何とかついていけそうですね。直訳でなく、コンセプトのイメージを「表現」するのです。良いネーミングはそれだけで、ひとつの作品だと思ってます。もしネーミングが芸術の領域だとしたら、もっと上を目指しましょうか?それが次の章の「神秘性」です。

【神秘性を持つ】
さすがにこのレベルまで来ると修行が必要です。「神秘性」を獲得するために、かなりの「強さ」と「オリジナリティ」が必要だからです。これらが欠けると単なる「名前負けデッキ」になってしまいます。ネーミング技術だけでなくデッキ構築技術も同時に修行しなくてはいけませんね!数式で表すと、神秘性=(コンセプトのイメージ化+強さ+オリジナリティ)×高次元の調和です。例えば、ネット上で有名なデッキの「ゼロ」。あなたは何をイメージしますか?シンプルなだけにたくさんのイメージが湧いてきますね。正解は「相手に何もプレイさせない、魔封じ+除去系+ハンデス・デッキ」です。(良いのか?)まさに「ゼロ」ですね!座布団1枚とか(笑)並みのデュエリストなら何も出来ないうちに敗れ去るでしょう!しかも、デッキ構成はうかつに手を出せない絶妙な構成、抜群のオリジナリティ...幸い作者が時々このサイトにもにいらっしゃいます。詳しく知りたい方は水HPに理論が乗っています。神秘性が極まると、新ジャンルの始祖になれるかもしれません。インターネットを使っているからには、全国の決闘者にご自分の存在感、その分身であるデッキをアピールしたくなることもありますね。このサイトの相互リンク先にはたくさんの「カリスマ・デュエリスト」の方々がいらしゃいますので、訪問することをお薦めします。

【スタイルを持つ】
さあ、ここで一息つきましょう。よろしければ、背伸びをして深呼吸をどうぞ...かなり話が飛躍してしまったので、イメージ論の続きに戻しますね。...何でしたっけ?そうそう、「WCU」の話をしましたね。ところで、あなたは、ビデオのコレクションに番号を振る時、どのタイプを使いますか?まさか「第1巻」「Vol.2」「No.3」と混ぜませんよね!普通はネーミング・ルールに基づいて、揃えるはずです。デッキ名も、似てると思います。例えば、漢字だけ、英語だけ、略語だけ...混ざっていると作者も混乱して解りにくい。見る方はもっと混乱すると思います。私の場合は、ほとんどが英訳+略称+バーションのローマ数字で管理してます。お蔭様で、仲間の方には自然に略称だけでも、コンセプトカード構成までイメージしてもらえるようになりました。「今、FFX作ってるところだよ!」「ふーん、まだ迎撃とSチェンジ入れてるの?コマンド入れたら?」こんな会話してます。(笑)なんか業界人っぽくて格好良いでしょ?名前=言葉は「共通の環境」「共通の認識」ですから他人に解らなくても良いのです。仲間意識の向上のためにもスタイルを身につけて、ご自分のイメージを理解してもらいましょう。HNにバッチを付けている方々も多いです。たぶん「ドレイン普及協会」の方々が最初だと思いますが、HNの後に@ドレ会などと付けると仲間意識が高まりますね。水HPなどでは研究会ごとに@(バッチ)があるので始めての方々は戸惑いますね♪参加してしまえばOKですね〜

【愛着を持つ】
これはとても大切なことです。序章で、ご両親が子供に名前をつける時の話をしましたが、同時に愛称を付けたりしますよね!例えば「紀子」だったら「のりちゃん」「のんちゃん」などです。ご自分のデッキ名が気に入れば愛着も深まるというものです。良いデッキ名が浮かばない時は、上手な人に付けてもらっても良いですが、出来れば自分で悩んだ末に完成させたものが可愛いと思います。他人にどう思われても良いのでは?私には「フリード・ファンクラブ」というデッキがあります。詳しく知りたい方は「ファンデッキ理論1」も読んで下さいね。作り始めたときは「フリード・デッキ」と呼んでいたのですが、なんとなく愛着が湧かない。そこで、3日ほど悩んだ末につけた愛着のあるデッキ名なのです。ファンクラブと聞けば「ああ、この人フリードが大好きなんだな!」とわかるし、無敗将軍が微妙に弱いだけに可笑しさもある。「ひょっとして会員はこの人だけか?」なんて考えたりする。略してFFW。私はファイナルファンタジーも大好きなので、名前を考えるだけで至福です。皆さんも、愛着の持てるような素敵なデッキ名=愛称を考えてくださいね!「楽しくなければゲームではない!」冗談ではありません。全ての基本だと思いますよ♪

【おわりに】
この理論は私の遊戯王におけるオリジナリティ部分を凝縮した「精神波動攻撃理論1」「ファンデッキ理論1」と並ぶ三部作となっています。水HPの副管理人時代の最初の1ヶ月で集中して書いただけに、今読み返すと気合が感じられます。魂の言葉の部分はそのまま活かすことにしました。三部作完成から4ヶ月も空いてしましたが、そろそろ続編も構想しています。新三部作はより具体的で、軽い内容を目指すつもりです。時々、「海さん語り」や「海さん語録」を見ててくださいね。うっ!今回のおわりには短いな〜気にしない、気にしない♪それでは、また〜