暗黒の魔人編 最終章
enchaさん作

作成:02/11/16


フェニックスは目を覚ました。
「ミ−は?そうデ〜ス、あのミストに・・・。」
「気付いたようだな?フェニックス・・・。」
フェニックスの近くには遊戯が立っていた。その横には杏子の姿もあった。
「遊戯ボ−イ・・・。」
「フェニックス・・・。」
フェニックスが立ち上がった。
「ミストは?ミストは何処デ〜ス?」
「さぁな?」
「・・・そうデスカ。やはり私は、兄を超える事は出来ないのデスネ・・・。」
「闇の力に魅せられ、闇に利用されただけのあんただ。どう考えてもペガサスの足元にも及ばないぜ。」
「フフッ、やはり・・・。」
フェニックスはテラスの方に歩き出した。
「今回の騒動はある意味、兄への挑戦だった・・・。」
フェニックスは語り始めた・・・、何故今回の騒動を起こしたのかを・・・。
「兄が恋人であるシンディアを失い、エジプトを彷徨っていた時期があった・・・。この時、私達の父は兄ペガサスを自分の後継者リストから外し、私を後継者にと考えていたらしい・・・。しかし突然戻ってきた兄は・・・。」
(・・・私はエジプトで素晴らしい発見をしまシタ、これを私自身で形にして世の中に私の力として示して見せマ−ス。)
「・・・と言って自力でI&I社を設立してM&Wを世に出した、その成功はユ−もご存知でショウ・・・。」
「・・・・・。」
「父は自分の手を離れて成功した兄を誇ると同時に、自分の手の上だけで動いている私に対して明らかな物足りなさを感じていた・・・。」
そして・・・、
(・・・私は今日限りで引退する。私の余生に必要な分以外はお前に譲る。お前の兄、ペガサスに負けないようにする事だ・・・。)
「しかし結果は父にはわかっていたようだ、私が父から受け継いだ事業は縮小の一途をたどった・・・。」
フェニックスはテラスの手すりに腰をかけた。
「そんな時だ、兄から連絡が来たのは・・・。」
(今度、海馬コ−ポレ−ションと共同でM&W用のバ−チャル・シュミレ−タ−・ボックスを開発する事になりまシタ。そこでユ−に頼みたい事がありマ〜ス)
「兄は、自分がM&Wのカ−ドを作っている間の影武者として振舞っていて欲しい・・・、と私に言ってきました。」
「影武者・・・。」
「これは私に対する哀れみだと思いまシタ。私は恩着せがましく話を持ちかけてきた兄に、I&I社の役員の椅子を条件にその依頼を受ける事にしまシタ。」
「ペガサスはお前を・・・。」
「その時私は思いマシタ・・・、兄を超えねば・・・、父を見返してやらねば・・・、そして思いついたのが・・・。」
「今回の騒動・・・、という訳か・・・。」
「そんな時、闇の世界の住人であるミストが私の前に現れマシタ。彼は私に言いました、『お前は選ばれた者だ。』と・・・。私は闇の力を得る事で、兄を超える存在になりたかった・・・。」
「結果的には闇に喰われたか・・・。」
「私の身体に入ってきたミストが、私の部下6人を殺し、その血であの3枚の魔人カ−ドを作っていたのを、私は意識の奥底で見ていまシタ。その時点で悟るべきだったのデス、闇の力は人間の持つ力では無いという事を・・・。」
フェニックスはテラスの手すりの上に登った。
「フェニックス!」
「フェニックスは死してもなお蘇る事が出来る、今度蘇ってきた時私は・・・。」
「フェニックス!」
「兄を・・・、超える事が・・・、出来るのでショウカ?」
フェニックスの体が遊戯の前から消えた・・・。
「・・・・・。」


「これを私に?」
イシズ・イシュタ−ルは驚きの表情で遊戯を見た。
「この3枚の魔人カ−ドを誰の目にも触れる事の無い所に封印してもらいたい。」
イシズは3枚のカ−ドを見た。
「神の創造主に対する憎悪の結晶・・・、とも言うべき物なのでしょうか?この3枚のカ−ドは・・・。」
「さぁな?」
「わかりました。あなたの依頼、お受けいたしましょう・・・。ですが・・・。」
「?」
「このカ−ドは・・・、この世に残すべきカ−ドでは無いと思いますが・・・。」
「・・・なら処分は任せるぜ。」
「わかりました。聖なる炎でこのカ−ドを浄化する事にしましょう。


「全く・・・、あまり面白くない仕事だったわね・・・。」
ペガサス城の地下を歩いている人物がいた。
「でも・・・、別の依頼の品がココにあるという意味では、全くのムダにはならなかった事にはなるわ・・・。」
その人物、デビル・ディ−ラ−ことマリア・W・エンジェルの仕事は、フェニックスの雇われデュエリストから“カ−ド・ハンタ−”という、レアカ−ドを探し出すという仕事に変わっていた。
ゴゴゴ・・・、鉄製の重い扉を開けて、ある部屋に入った。
部屋の中にはデュエルテ−ブルがあり、その上にデッキが置いてあった。
「しかしココにアタシが探していたレアカ−ドがあるとはね〜。」
デビル・ディ−ラ−がテ−ブルの上のデッキから1枚のカ−ドを抜き取った。
その時!
・・・そのカ−ドの価値を知っているのか?・・・
デビル・ディ−ラ−の頭に直接語りかける声・・・。
「フフフッ、やはりね。出て来な・・・。」
デビル・ディ−ラ−の前に黒い霧が立ち込めた。
・・・魔人カ−ドが失われた・・・
「らしいわね?」
・・・デビル・ディ−ラ−よ。そのカ−ド、白眼の霧竜を何処に持って行くというのだ?・・・
デビル・ディ−ラ−が持っている白眼の霧竜を見ながらミストは聞いた。
「アタシはある人物の依頼を受け、このカ−ドを含む何枚かのレアカ−ドを探しているだけ・・・。」
・・・その人物とは?・・・
「・・・“伝説の八竜”を集めているお方よ。そのお方の傍にもあんたと同じ、闇の住人がいるわ。」
・・・お前が私の存在にさほど驚かないのはその為か・・・
しばらく沈黙が続いた・・・。
・・・デビル・ディ−ラ−よ、私をその“あるお方”という人物の所へ連れて行ってくれないか?・・・
「何故?」
・・・魔人カ−ドが失われた。私の目的を果たす次の手段のカギを握る人物がその人物になろう・・・
5秒ほど考えたデビル・ディ−ラ−の答えは・・・。
「フフッ、いいわ。連れてってあげるわ。“竜王”の元へ・・・。」